リニア中央新幹線岐阜県駅南側の中央広場となる位置から工事概要を説明するJR東海の担当者=11日午後、中津川市千旦林

 JR東海が東京・品川-名古屋間の開業を目指すリニア中央新幹線計画は、11日に岐阜県駅(仮称、中津川市坂本地区)で本格着工を迎えた。静岡県の大井川の流量減少問題で未着工の静岡工区を抱え、開業のめどが立っていない中で、岐阜県内では路線延長約55・1キロに及ぶ工事が6市町で進むが、決して順調とは言えない。県は一つずつ課題を解決しながら安全で着実な工事の実施を求め、リニアが開業した県の新時代の姿を描いていく構えだ。

 「岐阜県駅を拠点にリニアの速達化の効果が大きく広がっていく、期待ができる駅になる。(工事は)安全第一でと思っている」。起工式後の取材でJR東海の金子慎社長は力を込めた。昨年10月に中津川市の瀬戸トンネル工事現場で作業員2人が死傷する事故が発生し、県内のトンネル掘削工事は約半年間ストップし、起工式のあいさつで「安全第一」を強調した。

 県内の区間は約9割(約48・6キロ)がトンネルだ。10工区あるうち、掘削工事に取りかかったのは5工区にとどまる。2016年に県内で初めて着工した日吉トンネル南垣外(みなみがいと)工区(瑞浪市、約7・4キロ)も4割程度を掘り終えたところ。工事の進度は芳しくない。

 27年の開業が難しくなる中、「急がば回れ」と古田肇知事も開業時期にこだわらず安全重視の姿勢を見せる。瀬戸トンネルの掘削工事が再開した今年5月、中津川市を訪れた古田知事は「急ぐからこそ事故について間違いない対策を取り、足元をしっかりと固めて前に進む」と述べた。

 静岡工区の着工もめどが立たず開業時期がはっきりとは見通せない状況の中、県は14年にまとめたリニアの活用戦略の練り直しを進める。アフターコロナや国連の持続可能な開発目標(SDGs)などの視点を盛り込む。JR東海がこの日公表したイメージ図をより具体化していく考えだ。古田知事は起工式で「いよいよここから始まる。一丸となって活用し実現する決意だ」と力を込め「そろそろ仮称ではなく、駅名を考えてもいいのでは」と意気込みを示した。