出来上がった「激しょっぱ生梅塩飴」。この後、包装されて出荷される=各務原市鵜沼各務原町、桃太郎製菓
裁断のため、ドリルのような機械にあめ生地を巻き付ける。裁断直前にオリジナルの梅肉ペーストを注入する=各務原市鵜沼各務原町、桃太郎製菓
日本で初めて開発した塩あめをベースに、今は2種類の塩あめを製造する

 ほんのりと甘い匂いが立ちこめる工場で作られているのは、これからの夏本番で活躍する「塩レモンキャンディ」と「激しょっぱ生梅塩飴」。熱中症予防として塩あめをなめることは今では定番となっているが、全国で初めて塩入りの“しょっぱいあめ”を開発したのが桃太郎製菓だ。1980年代初めに商品化して以降、看板商品として会社を支えており、吉田明浩社長(58)は「キャンディーは秋冬に売れる商品だったが、今では夏の方が忙しくなった」と話す。

 

 塩あめの誕生は吉田社長の父で創業者の一成さんの斬新なアイデアからだった。信州旅行で塩ようかんを食べた際、「甘いようかんに塩が合うのであれば、キャンディーにも合うのではないか」と感じ、すぐさま商品化に着手した。甘いあめに辛い塩を混ぜるというこれまでにない味覚が受け、一気に広まった。今では3~8月の期間限定で製造している。

 作り方は至ってシンプルだが、レモンや梅味をより感じてもらう工夫が要所に取り込まれている。初めに釜で水あめと砂糖、水を約110度で30分かけて溶解。その後、加熱し減圧した専用の管を6分間かけて進み、水分を飛ばす。ゆっくりと加熱することであめが透明に仕上がり、その後に着色しやすい工夫が施されている。

 出来上がった透明なあめ生地は、温度が100度以上、重さが約30キロあり、扱うには相当な技術が要る。着色の際は、手に引っ付かないよう手際よく塩や赤しそパウダー、梅干しパウダーを混ぜ込み、全体を赤色に。正確さとスピードが求められる。味を安定させるため、仕上げは専用のプレス機で織ったりつぶしたりと練り込む。

 出来上がった生地をドリルのように回転する機械に巻き付け、徐々に細くしてあめの形に整える。裁断前に和歌山県産の梅を使った梅肉ペーストを注入することで、よりすっぱさを増した「激しょっぱ生梅塩飴」が出来上がる。

 あめの中に梅肉ペーストなどを入れると手間がかかり1日当たりの生産量も減るが、吉田社長は「ライバルメーカーが多い分、他と差別化できる商品を作っていかないといけない」と力を込める。

 来年は創業50周年を迎える。吉田社長は「『山椒は小粒でもピリリと辛い』というモットーのもと、小さいながらもお客さんに愛される、特徴のある商品をこれからも作っていきたい」と見据える。

 【工場概要】1973年に岐阜県各務原市で創業。86年に現在の場所に移転し、新工場を建設した。敷地面積は約3180平方メートル。あめのほか、ういろうや蒸しようかんなどの和菓子も製造している。あめの生産量は一日当たり約2トン。従業員数は37人。各務原市鵜沼各務原町。