岐阜県中津川市東部で長野県と接しており、現在の滋賀県から東北地方に至る「東山(とうさん)道」で最大の難所とされた神坂峠(標高1569メートル)があります。1958(昭和33)年に長野県神坂村のうち、湯舟沢地区を編入して成立しました。

 峠の名前の由来には「日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国征伐の際通ったという記紀(古事記・日本書紀)の伝承による」とあり、「神の御坂」とも書くそうです。「万葉集」には旅の無事を祈る防人(さきもり)歌が収められているほか、「古事記伝」や「今昔物語集」などにも記載があります。

 6月26日の当コーナーでは、東海北陸自動車道の飛騨トンネル(全長10・7キロ)が通る飛騨市の天生(あもう)を取り上げました。神坂は中央自動車道の恵那山トンネル(8・6キロ)が通っています。両トンネルとも全国屈指の全長ですが、いずれも難読の地を通っている共通点があるのです。

(『角川日本地名大辞典』などを参照)

【答え】みさか