新聞を教材に学ぶ生徒
百人一首を楽しむ生徒ら=いずれも山県市高富、高富中学校

県NIEアドバイザー 山県市立高富中教諭 原田結花

 今回は、グローバルな視点で、日本語を母国語としない児童生徒も学んでいける新聞の教材化を考えてみたいと思います。学ぶ意欲も知識もあるのに、日本語の読み書きとのギャップがあるため本来の力が発揮できない、そうした仲間がいるのではないでしょうか。

 使用するのは毎週火曜日掲載の「ぎふキッズ新聞」です。

 一つ目は、「楽しいな!科学」のコーナーがお薦め。この欄が良いのは、文章が説明文で短いこと。そして、前半が質問形式の文で後半に解答があるので、興味が継続します。私は、3月5日に掲載された「チューリップの種子」の記事を使いました。

 まず、前半部分の「チューリップは種子があるでしょうか」という300文字程度の部分を音読させました。その後、新聞と同じ文字数にした升目に記事を書き写させました。その際、拡大した升目に教師がお手本の文字を書いたものも用意しました。生徒が書いた後には、自身の文字を音読させました。最後に、後半部分の「チューリップには種子があり、花が咲くのに5年かかる」という文章を教師が読み聞かせました。読み書きだけでなく、語句の意味について話し合う場もあり、楽しい学習となりました。

 二つ目は、「週間Let'sえいGO」のコーナーです。私が関わっている生徒Fさんは、英語を使いこなします。このコーナーの英語を音読してもらい、生の発音に触れることは他の生徒のヒアリングにもなりますし、彼の力を認める機会ともなります。この欄には、最近のニュースが取り上げられていますし、写真もあります。日本語訳だけでなく、単語解説もあります。誰にでも使える英語学習となるのではと思います。ぜひ、英語の先生方には授業の最初のヒアリングに使っていただきたいと思います。

 週に何時間か、日本語教育と共に国語と数学をFさんに教える機会を得ました。彼を通して、熟語だらけの日本語の読み書きはなんて難しいんだろうと思います。

 いろんな場所で、日本以外を母国とする子どもたちを見る機会が増えました。私が関わっているFさんの得意なことは百人一首。先日行われた学年の大会では、見事1位になりました。好きな一首は「嵐吹く三室の山のもみじばはたつたのかわの錦なりけり」。彼らに日本語を教えるだけでなく、彼らのもつ文化などからもお互いに学んでいきたいと思うこの頃です。