「モネの池」の名で一躍有名となった、岐阜県関市板取にある名も無き池。今もブームは衰えず、県外からも多くの人が訪れ、SNSには絵画のような写真が数多くアップされる。「でも、撮ってほしいポイントはもっとあるんですよ」。そう教えてくれたのは、池を毎日管理している地元のおじいさん。天候や季節によって移り変わる、モネの池の魅力とは-。(デジタル報道部・亀山大樹)

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山間に広がる絶景

 モネの池は、長良川の支流、板取川に沿って走る国道256号をずっと北上した先、地域の氏神をまつる根道神社の境内にある。山すそに沿って南北に延びた形で、山に降った雨が池の底から湧き出る。この湧き水こそが、透き通ったエメラルドグリーンの美しい風景を作り出している。池には十数匹のコイが優雅に泳ぐ。2015年秋ごろから、フランスの画家クロード・モネの代表作「睡蓮」の世界観に似ていると注目を集め、SNSなどを通じて広まった。

 

 「降り方にもよるが、雨から数日後に池の水が増え、透明感が増す」と話すのは、元白谷地区自治会長の久江正雄さん(68)。整備委員会のメンバーの一人として、毎日神社に参拝する傍ら、池の枯れた水草の掃除などをしており、写真をインスタグラムにアップしている。白谷の地区名の通り、池の底には白い砂が平たく積もっており、淡い緑をした水の色を際立たせている。集落を囲む山が陰になって空が池に映り込むのを抑え、池本来の色をそのまま写真に収めることができる。いくつもの好条件が自然と重なってできた、まさに奇跡の風景。さらに、神社の住所が下根(しもね)道上と名前もややかぶっている。

モネの池を見に訪れた観光客たち

秋まで楽しめるスイレンの花

 今の季節に見頃なのは、なんといってもスイレンの花。毎年6月上旬ごろに開花が始まり、60個ほどの花が時期をたがえながら咲いていく。場所によって水温が1〜2度変わるため、9月ごろまで楽しめる。7月下旬現在は、桟橋の近くにつぼみがついているという。

池に浮かぶ水蓮の葉。6月下旬撮影

 白い花は咲き始めから日がたつにつれて淡いピンク色に変わっていく。「朝晩はつぼみで、咲き始めるのは午前11時頃から。午後2時ごろに満開になり、夕方には再びしぼみます」。花の盛りを撮るには、この時間を狙って行くのがよさそうだ。

 久江さんおすすめの撮り方が、晴れた日にカメラの露出(明るさ)を下げて暗めに撮影する方法。周辺の色がぐっと抑えられ、スイレンの花の白さがより際立つという。さらに、水面に反射した花も写し込むと、花びらが上下に広がり、いっそう美しさが増す。枯れた水草を取るのは、池の透明度を保つのに加え「この画を撮ってもらいたい」との思いがある。

 

 モネの睡蓮をほうふつさせる景色が広く知られるようになったが、実は最初に注目されたのは冬の写真。湧き水は四季を通じて水温が安定しており、他の池では枯れてしまうスイレンの葉が冬に「紅葉」して残る。色鮮やかな夏の季節とは違い、モノトーンの世界に赤い葉が映える光景を見ることができるという。山深い立地で、積雪もあるため、白銀の世界とともに池を撮るのも趣深い。