体長約4センチの雄のトゲナナフシ=岐阜市大宮町、名和昆虫博物館

 極めて珍しい雄のトゲナナフシを愛知県田原市の小学6年の森下泰成君(11)が21日、岐阜市大宮町の名和昆虫博物館に寄贈した。雌単体で卵を産む「単為生殖」で繁殖するトゲナナフシを約5年間飼育する中で、初めて生まれた雄の個体だ。同館などによると、これまで国内での雄の発見報告は2例のみ。名和哲夫館長(67)は「生きた状態で見るのは初めて。まだ謎が多いトゲナナフシの生態を知る上で大変貴重な資料となる」と話す。22日から公開する。

 

 トゲナナフシはナナフシの一種で、体に多数のとげ状の突起があるのが特徴。本州、四国、九州に広く分布しているが、雌の単為生殖で繁殖できるため、雄の発見例は繁殖で1件、野生の捕獲で1件のみという。

 森下君は、小学1年生の時に三重県で行われた昆虫キャンプに参加し、そこで捕まえたカミキリムシをスタッフが持っていたトゲナナフシと交換。自宅に持ち帰って飼育を始めた。毎年卵を産ませ、今年1月には7世代目となるトゲナナフシを100匹以上ふ化させた。7月6日に小さなままの1匹がいることに気付き、「もしかして雄なのではないか」と考え、別の大きな1匹と一緒に別のケースに移した。すると、2匹が交尾をしたため、小さい方が雄と分かったという。

 雄は体長4センチほどで、雌の約7センチと比べると、胴体が細く、一回り以上小さい。細い体の特徴から「ポッキー」と名付けてかわいがっていた森下君は「雄だと分かった時は『見つけちゃった』と興奮した。ポッキーを調べることで、これまで分からなかったトゲナナフシのことが分かるようになったらうれしい」と話す。

 名和館長は「死んだ後は標本にし、DNA検査を行う予定。単為生殖が可能にもかかわらずなぜ雄が存在しているのか、種の根源に迫れるかもしれない」と期待に胸を膨らませた。