“鼻の捜査官”として約5年7カ月にわたり、岐阜県警の嘱託警察犬を務めたウィン・フォン・デアヴァンダ・ファルケン=愛称「あたり」=(シェパード、雌11歳)が15日、息を引き取った。指導手でペットホテル経営の谷向昭紀さん(74)=高山市新宮町=は「暑い日も寒い日もよく頑張ってくれた。よきパートナーだった」と別れを惜しんだ。
あたりは、2016年12月から警察犬に委嘱されて以降、行方不明者の捜索などに200回以上出動。谷向さんとともに署長感謝状などを計16回受けた。
17年には、清見町と飛騨市古川町にまたがる猪臥(いぶせ)山(1519メートル)登山道で迷った高山市の女性=当時(64)=の捜索に出動し、女性の白いハンカチを発見。女性は遺体で見つかったが、ハンカチのあった場所から約200メートルの位置だったことから、早期発見への大きな手掛かりとなった。
谷向さんは「おとなしく、人混みでもあまり動揺することはなかった」と振り返る。昨年10月、目の下にできた腫瘍を切除したものの悪性と診断され、のちに食道などに転移し、今月15日に亡くなった。
高山署は24日、功績をたたえ、感謝状を贈った。西脇克児署長は「長い間お疲れさまでした」とねぎらい、谷向さんは「あたりの功績があったからこそ。感謝のひと言」と話した。