岐阜県北部を中心に長年親しまれている郷土料理「鶏(けい)ちゃん」。みそやしょうゆなどを調合したタレに漬け込んだ一口サイズの鶏肉を、野菜と一緒に炒める料理は、近年広く知られるようになった。下呂市萩原町古関の萩原チキンセンターは「萩屋ケイちゃん」のブランドで、カットした味付き鶏肉を製造販売している。
同社のケイちゃんには国産鶏肉の1枚肉を使う。肉は1枚ずつ人の目で確認される。残っている骨などを見逃さないようにするためだ。「大変だけれども、人の目の方がいい。検査しやすいよう1枚肉を使っている」と日下部讓社長。機械化できる部分は機械化し、人がやった方がいい部分は人の手で加工し、両者の利点を生かして製造を行っている。
機械で一口サイズになった鶏肉はそのまま混合する機械に入り、調合されたタレと混ぜ合わされる。取材時は「ピリ辛みそ味」のケイちゃんを作っていた。オリジナルのタレは自社で調合し、もちろんレシピは秘密だ。よく混ぜられ味が付いた鶏肉は、別の容器に移し替えられる。容器はエレベーターのように持ち上げられ、袋詰めする機械に鶏肉が流し込まれる。回転部に素早くパックが取り付けられ、順に鶏肉が詰められていく。
パックには賞味期限の日付も印字される。この際、カメラで日付が合っているかをチェックする。パックに封がされ、機械から次々と流れ出てくる。
コンベヤーの一角で、流れてきたケイちゃんのパックを手で押さえる人がいる。封入する機械ではパックが縦向きになっており、下部に偏った鶏肉を整える。同時に封に漏れがないかも確認している。金属探知機や重量計を通り、プラスチック製のコンテナに詰められていく。
食品を扱う以上、衛生には念を入れる。働く人は青色の手袋を着ける。手袋は1時間ごとに点検している。万が一、破れた際に、異物として手袋の破片が入っている可能性があるのは、その1時間分だけ。色も見つけやすい青色だ。専用のばんそうこうもあり、金属探知機が反応するように金属が織り込まれている。食品安全マネジメントシステムに関する国際規格ISO22000にのっとったルールを作って運用している。国際的な食品衛生管理手法が、郷土の味を支えている。
【工場概要】下呂市萩原町古関の本社に工場を併設。ケイちゃんは1日当たり1万パック、年間210万パックを生産できる。約8割を県外へ出荷している。“鶏ちゃん文化”の広まりに伴い、生産量は拡大傾向という。ISO22000は、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」の内容を全て含んだ食品安全マネジメントシステムに関する国際規格。従業員数は約30人。













