小児科医 福富悌氏

 今年もインフルエンザワクチンの接種が始まりました。子どもにとってはRSウイルスやインフルエンザウイルスの方が、新型コロナウイルスよりはるかに危険なウイルスであると考えられています。そのため、インフルエンザワクチンの接種は大切だと思います。

 ワクチン接種については、新型コロナウイルス感染のワクチン接種との兼ね合いも心配されます。これについては厚生労働省のホームページの新型コロナワクチンQ&Aの中で、「新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種することはできますか」の質問に対して、「新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種は可能です。ただし、インフルエンザワクチン以外のワクチンは、新型コロナワクチンと同時に接種できません。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます」のように回答されています。

 新型コロナウイルスに対する恐怖は、国内での感染流行の始まりのクルーズ船集団感染から、マスク不足、消毒液不足などが今でも記憶に残っていると思います。その恐怖は繰り返し報道された「密集、密接、密閉」の3密回避の厳守の下、全国一斉休校措置、マスク着用、黙食での給食、課外活動の中止、学校行事の中止などを通じて、子どもたちの生活を一変させました。

 子どもたちの生活の変化はさまざまな形で子どもたちの心身の発達に影響しました。感染対策を強化すればするほど、子どもたちの心の健康はむしばまれると考えられています==。そのため、新型コロナウイルスの対策はハイリスクの子どもたちを守ることに留意しつつ、子どもの健康・発達のためにバランスの取れた対応が必要だと思います。

 今から流行の季節を迎えるインフルエンザは、子どもにとって新型コロナウイルスよりも重症化することが多く怖いため、ワクチン接種で予防しましょう。

(福富医院院長、岐阜市安食)