観光客らが見守る中、闘鶏楽を披露する白川郷学園の児童ら=10月14日、大野郡白川村荻町、白川八幡神社
教師の指導で課題学習に取り組む生徒=10月17日、大野郡白川村鳩谷、白川郷学園(同学園提供)

◆獅子舞など伝統行事学ぶ

 大野郡白川村鳩谷の小中一貫義務教育学校「白川郷学園」は、長期休業日を分散して設ける「キッズウイーク」を終えた。学園では「ふるさと白川郷ウィーク」と呼んでいる。毎年9月末と10月に開かれる村内4神社の「どぶろく祭」に合わせた独自の休みで、児童・生徒が積極的に祭りに関与し、村の担い手になることを目指す。

 キッズウイークは、夏休みなどの長期休業日を地域の事情に合わせて分散しようと、国が推進する取り組み。学園では、単なる休日ではなく「家庭および地域における体験的な学習活動、その他の学習活動のための休業日」と位置付けてこの時期に設定しており、導入2年目を迎えた。活動は▽自分の地区の祭りへの参加▽他地区の祭りの見学▽学園図書館などでの宿題・課題学習―が柱。

 「どぶろく祭」は、冬に仕込んだどぶろくを奉納して豊作に感謝する村の伝統行事。御神幸行列、獅子舞、民謡や舞踊などの神事が繰り広げられる。平瀬、荻町、鳩谷、飯島地区の神社の開催日に合わせて、今年は9月25、26日、10月15~18日の計6日が休みとなった。

 白川郷ウィーク期間中、児童・生徒には祭りに関する課題が与えられる。内容は、絵日記(1、2年生)、作文(3、4、6年生)、ポスター作成(5年生)、新聞制作(7、8年生)、レポート(9年生)。課題は、総合学習を一歩進めた「村民学」実践の一環で、「村の担い手になる、村に貢献する」ことにつなげる。

 鳩谷の祭りの獅子舞で、獅子を退治する「ししとり」役を担ってきた4年生、南結斗(ゆうと)君。「今年は踊りで側転を頑張った。本番は緊張したけど、しっかり足を上げてできた」と獅子舞の完成度を高めた。さらに一緒に踊った年下の児童を上級生としてサポートし、一緒に祭りをつくり上げた。

 昨年度の白川郷ウィークで「親は仕事のため車が出せないので、他地区の祭りに行く手段がない」という声があったため、今年は学園と平瀬間でシャトルバスを運行。鳩谷の6年生、宮部徠斗(らいと)君は、シャトルバスを利用して平瀬の神社を訪れた。他地区の祭りの獅子舞を見たことで「自分の地区の獅子舞の良いところを見直すことができた」と実感した。

 一方、学園で課題学習に取り組んだ荻町の7年生、北原柊亜(とあ)さんは「静かな環境で集中できた」と振り返った。

 中村裕幸校長は「子どもたちが主体的に行動し、祭りや学習に打ち込むようになった」と、白川郷ウィークの考え方が浸透したことに手応えを感じている。