豪華な祭り屋台が並ぶ館内=高山市桜町、高山祭屋台会館
現在は使われていない重さ2.5トンの大みこし。かつては総勢80人で担いだ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年に続いて神事以外の行事を中止することが決まっている秋の高山祭。青空の下で曳(ひ)きそろえられる豪華な屋台を見られる日はまだまだ遠そうだが、実物の屋台を通年で展示している施設がある。高山市桜町の「高山祭屋台会館」では、秋祭りの屋台11台を入れ替えながら、常に4台ずつ公開している。

 祭りの主役である屋台をより多くの人に見てもらおうと、1968年にオープンした。湿度や温度、光量などを厳密に管理しながら、屋台を保存展示している。天井高約10メートルの展示室は全面ガラス張り。展示室をぐるりと囲むように傾斜のある見学通路が設けられ、さまざまな角度・高さから屋台を見ることができる。

 11月中旬までの展示は、高山屋台の基本形ともいわれる金鳳(きんぽう)台、高山で最初に三輪を持った大八台、屋台行列の先頭に立ち大太鼓を打ち鳴らす神楽台、3年にわたる大改修で豪華な装飾に磨きのかかった豊明台。どれも細部まで飛騨の匠(たくみ)の技が光る。その精巧さは、会館に30年以上勤務する学芸員の瀬木登美子さんも「温度や湿度を確認するため毎日のように展示室に入るが、そのたびに新しい発見がある」と話すほど。

 屋台と並んで目を引くのが、1958年まで使われていた大みこし。八角形のみこしは重心を下げるために鉄の重りが入っており、全体の重さは約2・5トン。担ぐには背丈のそろった大人80人が必要だったという。担ぎ手を集めることが難しく、現在では一回り小さいみこしが使われている。

 瀬木さんは「厳しい目を持った屋台主と、それに応えられる匠たちがいたからこそ、今でも素晴らしい屋台を見ることができる」と、ずらりと並んだ屋台を見上げる。飛騨の人々の思いと技が詰まった屋台をすみずみまで見て回れば、室内でも十分に祭りの熱気を感じることができそうだ。

 携帯式の音声ガイドが日本語と英語で用意されており、人と距離をとって見学できるので、コロナ禍でも安心。

【案内】 高山祭屋台会館 住所=高山市桜町178。開館時間=午前9時~午後5時(12~2月は午後4時30分)。交通=JR高山駅から徒歩で約20分。入館料=一般千円、高校生600円、小中学生500円。問い合わせ=電話0577(32)5100。