来年1月8日放送開始の大河ドラマ「どうする家康」。徳川家康の生涯を描く物語で、活動休止中のアイドルグループ嵐の松本潤さんが、家康を演じることで話題となっている。放送開始に先駆け、記者は名古屋市東区のNHK名古屋放送局で行われた初回の試写会に参加した。コミカルな演技からシリアスな演技まで幅広くこなす「松潤」の魅力満載の展開だった。
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情けない家康
ドラマは桶狭間の戦いの時の家康(松平次郎三郎元信→松平元康と改名して後に家康だが、家康で統一)の様子から始まる。雨が降りしきる中、松本さん演じる家康が大高城(現在の名古屋市緑区)から逃げだそうとして「もう嫌じゃ」と叫んでいる。弱く情けない感じが出る迫真の演技。何があったんだろうか。
そう思っていると別のシーンに切り替わった。どうやら時間はさかのぼり、今川氏の人質になっていた時期を描いている。家康は嫌がりながら今川義元の長男氏真と槍(やり)で手合わせをして、すぐに負けた。情けなくてユーモラスな感じを出しながらもかっこよさは残る。さすが演技力の高さに定評がある松本さんだ。
その後は山で木彫りのウサギの人形を使って遊んでいるシーン。幼さを感じさせるかわいいしぐさの演技。それから後の妻となる有村架純演じる瀬名との出会い(初めての出会いではないようだが)が描かれる。ちょっと待て。確か家康が今川氏の人質だったのは子どものころだったはず。調べて見ると7歳から。家康が結婚したのは15歳だから、それよりも前の時期を描いている。だから幼い演技だったのか。39歳の松本さんが演じるというのはさすがに無理を感じるが、そこは松潤。無理は感じても不快な感じはしない。難しい設定を要求されてもストイックにこなそうとする姿を見ると、むしろ応援したくなってくる。
続いて自分の城である岡崎城に帰り、これから戦国時代を共に生き抜く家臣団と交流する姿が描かれる。それぞれ個性的な魅力を発揮する家臣たちとの出会いがあった後、駿府(現在の静岡県)に戻る。
駿府では今川義元の指示で瀬名を賭けて氏真とやりで戦うことに。氏真には以前簡単に破れていたが、ここでは家康が勝利。義元から家康がずっとわざと負けていたことを見抜いていたと伝えられる。戦う松本さんは、ただかっこ良かった。
この後、初回のクライマックスとなる桶狭間の戦いになる。家康は義元から大高城に食料を運ぶ「兵糧入れ」の役目を命じられ、危険はないと安心している様子。ところが丸根砦(とりで)を落とさないと食料を運び込めないため、戦いは避けられないことが分かる。びびりながらも覚悟を決めて出陣し、無事に大高城に入城。この頃の家康は残念ながら情けない。松本さんはその情けなさをよく表現している。戦闘シーンはCGを使い、非常に美しくリアルな映像を楽しめた。
初回はこの先も続くが、ネタバレ禁止のため書けるのはこの辺りまで。冒頭の「もう嫌じゃ」と叫んでいるシーンの理由も初回で描かれる。
〝殿〟としてリーダーシップを発揮
試写会終了後に行われた記者会見にはいずれも家康の家臣の大久保忠世役の小手伸也さん、鳥居元忠役の音尾琢真さん、制作統括の村山峻平さんが登壇。小手さんは「松本さんはプロフェッショナルで視野が広い。神輿(みこし)の担ぎ手として殿(松本さん)が輝くことを第一優先としてやっていきたい」と話し、音尾さんは「ゆったり大きい船にいつの間にか乗せてもらっている感じがする。皆が仲良くなるために率先してくれている」と話す。撮影現場でも松本さんは〝殿〟としてリーダーシップを発揮していることを伝えてくれた。
今回のドラマは、頼りない家康が成長していく姿が描かれる。視聴者は、家康の情けない姿やかわいらしい姿、リーダーとしての威厳を見せる姿など、狸(たぬき)親父の印象が強い家康のこれまでになく多様な側面を楽しめる。松本さんは7月に名古屋市内で行われた記者会見で「本当にこんなやつが天下を取るのかと思うような始まり方をしているし、どう成長していくのかという過程がとても鮮やかに描かれると思う。そこをアップダウンをつけて演じられたら」と抱負を語っている。演じる松本さんにとっては幅広い表現力が求められる難しい役だが、初回で子どものころの家康をうまく演じているシーンを見ると、次はどんな家康を見せてくれるのかと楽しみになった。
もちろん家康ファンや松潤ファンでなくても、十分楽しめるドラマ。初回は現在の静岡県と愛知県だけが舞台となったが、岐阜新聞の記者としては、岐阜県関ケ原町が舞台となった関ヶ原の戦いがどう描かれるか注目したい。









