和歌文学通史を視覚的に学べる和歌文学館=郡上市大和町牧、古今伝授の里フィールドミュージアム
篠脇山の麓に広がる国指定名勝「東氏館跡庭園」=郡上市大和町牧、古今伝授の里フィールドミュージアム
篠脇山を望む篠脇山荘のぬれ縁=郡上市大和町牧、古今伝授の里フィールドミュージアム

 岐阜県郡上市大和町の牧地区を流れる栗栖川沿いに、和歌をテーマにした野外博物館「古今伝授の里フィールドミュージアム」はある。東西約2キロに及ぶエリアは、文化の薫りと四季折々に表情を変える自然に包まれている。東氏の居城・篠脇城の跡が残る篠脇山の正面に一連の建築物が並び、来訪者を歴史絵巻の世界に誘う。

 大和町を中心とした市内一帯は、下総国(しもうさのくに)(現千葉県など)の名門千葉氏の一族であった東氏が鎌倉~室町時代、340年余りにわたって治めた。篠脇山の麓には国指定名勝「東氏館跡庭園」が広がり、中島を配した優美な池泉庭園が、当時のみやびやかな暮らしの面影を残す。庭園一帯には、古今集に詠まれた花木や草花が楽しめる「古今花の森」が整備されている。

 今年は東氏一族が1221(承久3)年の「承久の乱」の戦功で郡上の地を加領されてから800年目。また、9代目に当たる東常縁(とうのつねより)が宗祇へ古今伝授をしてから550年目の節目の年でもある。市は「郡上東氏800年・古今伝授550年祭」と題し、さまざまな記念事業を計画している。

 篠脇城跡では昨年度から、山上の曲輪(くるわ)を中心に発掘調査が進められている。ミュージアム内の東氏記念館では12月24日まで、出土した遺物を展示。茶道具や酒宴に使われたとみられる陶磁器片が並び、平時から麓の居館ではなく、山城にも居住していたことがうかがい知れる。

 一連の建築物は篠脇山の正面に並び、かつて棚田だった地形や水路を生かして設計されている。随所に大きな一枚板のガラスが使われ、季節の移ろいを建物内から楽しめる。

 東氏記念館は東氏ゆかりの資料や出土品を収蔵。篠脇山を望む篠脇山荘のぬれ縁は、手前の池に篠脇山が映り込む。和歌文学館では時代を代表する歌人や和歌文学通史を学べる。三十六歌仙にちなんだ長さ36メートルの古今和歌集絵巻は圧巻だ。

 ミュージアムの松原恵美さん(42)は「自然の中を歩きながら、和歌に込められた日本人の感性や歴史の息吹を感じてほしい」と話している。

【案内】古今伝授の里フィールドミュージアム 住所=郡上市大和町牧912の1。交通=東海北陸自動車道ぎふ大和インターチェンジから車で7分、長良川鉄道徳永駅から徒歩20分。入館料=有料施設共通券は大人320円、子ども110円。開館時間=午前9時から午後5時(冬季は午前10時から午後4時)。休館=火曜日(祝日の場合は翌平日)と年末年始。問い合わせ=電話0575(88)3244。