景石や池状のくぼ地が見つかった試掘現場=郡上市大和町牧、篠脇城跡(市教育委員会提供)

 岐阜県郡上市教育委員会は22日、鎌倉時代末期に築かれた同市大和町牧の県史跡「篠脇城跡」の試掘調査で、かつて庭園があったと推測される景石や池状のくぼ地が見つかった、と発表した。戦で用いられる山城で庭園のような空間が確認されたのは大桑(おおが)城跡(山県市)と並び県内初で、全国でも珍しい。有識者は「中世に郡上一円を治めた東氏(とうし)が平時から、山上でみやびやかな生活をしていたことを裏付ける新たな発見」として注目している。

 篠脇城は鎌倉~室町時代に一帯を治めた東氏の居城として、14世紀初頭に築城され、約230年間使われた。現在は篠脇山(標高486メートル)の山頂付近に遺構があり、麓には居館の面影が残る国名勝「東氏館跡庭園」が広がる。

 調査は昨年に続き2回目で、山頂の曲輪を中心に9月下旬から今月中旬にかけて実施。新たに六つの溝を掘り、日本庭園に配置される大きな景石や、麓から運ばれたとみられる川原石などが新たに見つかった。

 また、前回調査で部分的に確認された遺構について周辺を調べた結果、景石や川原石で囲まれるようにくぼ地も確認された。推定範囲は約11メートル×約7メートルの楕円(だえん)形で、かつて池があったと考えられるという。

 昨年も出土した15世紀末~16世紀初めごろの茶道具や、酒宴に使われた陶磁器などの遺物も多数発見された。東氏が居館を麓の東氏館から篠脇城に移したことが判明した前回の成果が、より確かなものとなった。

 調査検討委員長の中井均滋賀県立大名誉教授(日本城郭史)は「山城本丸の城主の居住空間にある庭園は過去に例がない」とし、「山城に居住空間を設けていたこと自体、注目に値するが、庭園と考えられる遺構は文化人、東氏ならではのもの」とコメントした。

 試掘は篠脇城跡と東氏館跡庭園の国史跡指定に向けた総合的な調査の一環で、本年度で終了する。

 市教委は27日午後1時半から、一般向けの現地説明会を開く。問い合わせは市教委社会教育課、電話0575(67)1128。