宮川の水をせき止めて取水する関西電力打保ダム。ダム下流は減水区間が続く=19日、飛騨市宮川町、本社チャーターヘリから

 岐阜県飛騨市を流れる宮川にある関西電力打保ダム(同市宮川町)の河川維持流量に関する市の検討会が25日、同町の宮川振興事務所であり、地元の漁業協同組合と市民グループが鮎の網による漁期には河川維持流量となる放水をしないように求めた。流量の増加が漁獲に悪影響を及ぼす恐れがあるためで、ダム建設後に培ってきた網漁の維持を図りたいとする。漁協などが網の漁期に放水をしないよう求めるのは極めて異例だ。

 ダムの河川維持流量は、水利権の更新時に合わせて決められる。打保ダムは2017年3月に水利権が更新され、河川維持流量が設定されることになっている。関電が国に示した河川維持流量の検討結果と漁協などが求める流量に隔たりがあることから、国が地元の意見をまとめるよう市に求め、検討会が開かれた。

 検討会には宮川下流漁協(飛騨市宮川町)、高原川漁協(同市神岡町)、富山漁協(富山市)、地元の市民グループ「清流宮川をとりもどす会」、飛騨市が参加し、国土交通省富山河川国道事務所、関電、岐阜県古川土木事務所がオブザーバーで加わる。

 協議は富山県立大名誉教授の高橋剛一郎さんを座長に進められ、関電が打保ダムの河川維持流量の検討結果を説明。4月から11月までは毎秒3・201トン、12月から翌年3月までは毎秒0・984トンとする考えを示した。

 これに対し宮川下流漁協と清流宮川をとりもどす会は、打保ダムの河川維持流量について鮎の網の漁期(例年8月下旬~10月下旬)は放流しないことと、その他の期間の毎秒5・565トンの放流を求めた。富山県境の共有漁場で鮎漁をする高原川漁協も網の漁期の河川維持流量はゼロとするよう要望した。

 両漁協が関電の協力を得て、打保ダムから毎秒1・2トン、毎秒0・6トン放流時の網漁への影響を下流で調べた結果、水深や流速が大きくなると網漁の効率が悪化し、操業時の危険が増したという。また、同ダムが67年前に稼働以来、平常時の放水が行われていない中で網漁という漁法が培われてきたとして持続可能性を高める方策を求めた。

 検討会では、打保ダム下流の蟹寺取水ダム下手の鮎の網漁についても協議が行われた。

 検討会では、参加者が協議内容を基に意向をまとめ、再度協議を行うことにした。

【河川維持流量】 河道の維持や水生動植物の生存繁殖、各種排水の希釈浄化など、流水の果たす機能を確保するために国が定める河川水の流量。国は発電用ダムの河川維持流量の目安を集水面積100平方キロ当たり、毎秒0・1トン~0・3トン程度としている。関西電力によると打保ダムの集水面積は1052・5平方キロ。