大勢の見物客でにぎわう神戸山王まつりの「朝渡御」=2019年5月、神戸町神戸

 今月11日、岐阜県神戸町神戸の日吉神社。室町時代の豪壮華麗な建築様式で国重要文化財に指定されている三重塔の前で、ふるさと学習に訪れた町立北小(安次)の4年生が、ボランティアガイドの解説を熱心に聞いていた。神社は建立から1200年の歴史があり、そこここに先人の思いが息づく。

◆「山王まつり」勇壮な炎

 毎年5月の例大祭「神戸山王まつり」(県重要無形民俗文化財)は勇壮な火祭りで名高い。暗闇の中、燃えさかるたいまつに導かれるように、若者が担ぐ7基のみこしが観衆の中を一直線に駆ける。

 少子高齢化が進み、伝統の祭りも近年は担い手不足が課題。10年ほど前から町外の人や町職員らを、みこしの担ぎ手に充てる。町は「神戸山王まつり活性化推進事業」を展開。氏子総代や区長代表らでつくる活性化委員会が、中学生や若い町民を対象に祭りや担ぎ方の講座を開いて継承を進める。「これから先も祭りが続くような取り組みをしていきたい」。氏子総代会長の山田一夫さん(70)=神戸=は力を込める。

小松菜、バラの一大産地

 濃尾平野の北西部に位置する神戸町。東を流れる揖斐川の右岸堤防を走ると、1400棟ものビニールハウスが現れる。揖斐川と支流の平野井川に挟まれた下宮地区。川の氾濫によって肥えた土地は畑作に適し、古くから「畑どころ」として栄えた。

 戦後、ゴボウや大根、ニンジンなど根菜類を栽培。生産者の高齢化に伴い1970年代以降、作業の負担がより少ない葉物など軽量野菜へ移行した。現在、地元農家でつくる下宮青果部会協議会の会員は85人余り。このうち約9割はハウスで1年を通じて小松菜を育てる。出荷量は1625トン(2020年)で、県全体の約9割を占める一大産地だ。ハウスではほかに水菜、ホウレンソウ、ネギ、モロヘイヤなどを手掛ける。

 新型コロナウイルスの影響で、農家は昨年に続いて厳しい年の瀬を迎えることになりそうだ。外食需要が減り、供給過多の状態が続く。5年前に就農し、小松菜農家を継いだ男性(31)=斉田=は「単価が上がらず正直厳しい。売り方も考えないと」と頭を悩ませる。

 一帯は県内最大の切りバラの生産地でもある。バラは1984年に町の花に制定され、91年には当時の天皇、皇后両陛下(現在の上皇ご夫妻)が視察された。94~98年の全盛期には11軒が年間500万本を出荷。現在は4軒、年間約70万本まで規模は縮小したが、出荷量は県全体の半分を占める。

 コロナ禍の影響は、バラにも及ぶ。イベントや結婚式が減っているためだ。それでも、神戸のバラ作りを支える一人、町バラ生産組合の戸川剛組合長(49)=斉田=は「町の花として恥ずかしくないものを常に作るようにしている。途絶えさせたらいかん」と前を向く。

 基幹産業の工業も、さらなる発展を目指す。2年前、東海環状自動車道大野神戸インターチェンジ(IC)―大垣西ICが開通。町は活性化につなげるため、近接する西座倉地区を「産業開発エリア」に位置付けた。住民は今年8月、「神戸町西座倉土地区画整理組合」を設立。今後、農地21ヘクタールを工業用地に転用し整備を進める。

 安田法爾理事長(67)=西座倉=は「インターを中心に地域を発展させることで、住みたいと思ってもらえる町になるのでは」と未来図を描く。