自動採点システムの模範解答を確認する教諭=岐阜市則武、岐阜北高校

 岐阜県教育委員会は今年9月から県内の公立高校全63校で、人工知能(AI)を活用してテストを採点する「自動採点システム」を導入している。長年課題となっている教職員の長時間労働の解消が目的で、これまでの採点時間が半減するデータもあるなど、現場からの評価は高い。自動採点が働き方改革推進の一助となるか―。運用に期待が集まっている。

 模範解答をスキャンして正解と配点を事前に設定し、生徒の答案用紙をスキャナーで読み込ませることで、記号問題は瞬時にAIが採点する。文字が丁寧に書かれていなくても、一定程度はAIが自動で判別する。記述問題は教職員が目を通す必要があるものの、画面上で全生徒の問題を見比べながら採点することが可能で、部分点も対応できる。項目や分野別の集計作業も自動で、複数人による採点もできる。

 兵庫県や大垣市などは既に同様のシステムを導入しているが、都道府県単位では全国でも先駆的。県教委が本年度、約620万円をかけて他自治体で導入の実績がある「シンプルエデュケーション」(東京都)社製のシステムを導入した。

 「採点や集計が本当に楽になった。土、日曜日が採点業務でつぶれることがなくなった」。岐阜北高(岐阜市則武)で現代文や古文を担当する教諭は自動採点の効果を実感する。1クラス当たり5時間ほど掛かっていた採点業務は、システムの導入でおよそ2時間半まで抑えられているという。「教職員で連携しやすく、ミスも起こりにくい。問題ごとにクラス全体の正答数を算出できるので、より重点的に生徒に指導しやすくなった」とメリットを語る。

 従来は、手作業で採点や集約を行っていたため、勤務時間内では対応できなかったという。自宅に持ち帰って採点する教職員もいて、採点業務は長時間労働の要因の一つとして課題となっていた。

 シンプルエデュケーションが導入校を対象に行った調査では、従来は平均155分かかっていた採点時間が48・8%減の約80分に短縮するなど、負担軽減につながっている。数学の証明問題など自動採点に向かない教科もあり、導入効果を幅広く高めることが新たな課題となる。

 県教育管理課の武田哲明課長補佐は「自動採点システムだけではなく、複数の働き方改革を同時に進めていくことが重要」と強調する。その上で「今後も取り組みを積み重ねて、長時間勤務や多忙化の解消を進めていきたい」と述べた。