コロナ禍は、これまでの生き方を問い直す機会となった。その答えの一つとして、世間から離れた暮らしを求める考え方が静かな注目を集めている。今年3月、そんな人たちが共同生活するシェアハウスが岐阜県本巣市根尾の山深い集落にできた。住人たちは、ここに住む理由をそれぞれ抱えながら自分らしい生き方を模索している。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」山あいに田畑が広がる根尾門脇地区に「WAKE HOUSE(ウェイクハウス)」は建つ。築66年の2階建て古民家で、個室は4畳と8畳の計8室がある。東北や関西などから来た21~40歳の男性5人が暮らす。運営者の山田惇起さん(26)=大垣市=は、塾講師の仕事があり週末だけ滞在する。
家賃はゼロ。1人当たりの生活費は水道光熱費や食費も含めて月4~5万円ほど。車を持つ住人は一人だけで食料は月数回、車で30分ほどのスーパーでまとめ買いする。
支出が少ない分、毎日働く必要もない。月に数日、日雇いのアルバイトをする人や、ネットの仕事で収入を得る人もいる。自室で趣味のギターを弾いたり資格の勉強をしたり。食事は住人が当番制で調理し、夕飯は全員一緒に食べる。
「住人同士、近過ぎず遠過ぎずの関係でちょうどいい」。奈良県から来た元会社員の男性(25)は語る。営業職で心労が募り、コロナ禍で在宅勤務になるとそのまま退職、引きこもりに。「働かなければ出て行け」と親に言われ、逃れるように来た。「ただ、生きることを許してほしかった。ここなら誰にも迷惑をかけずにそれができる」。
発達障害がある広島県出身の男性(40)は興味のあるプログラミングを学ぶ時間を確保するために来た。「人に責任を押しつけられない、自由な生活にも憧れていた」。ここで暮らし続けるかどうかは、まだ決めていない。
同様の施設は、和歌山県の限界集落にある旧校舎を活用したNPO法人「共生舎」など全国に十カ所ほどあるという。
山田さん自身も生き方を模索していた一人だ。元公務員で、昨年度は税金滞納者の財産差し押さえを担当した。在宅勤務が始まり、少ない人員で業務は増えた。特別定額給付金の支給の準備も重なった。「3カ月で12キロ痩せた」。そんなとき、共生舎を訪れた。幸せそうに暮らす住人を見て「自分と同じように悩む人の居場所をつくりたい」と決意。退職し、物件を根尾に見つけた。
今後、新たな住人が加わる予定で満室状態だ。「それだけ需要がある。他の地域でも同じような場所が増えるだろう」と山田さん。「一つの生き方しか考えられずに、困っている人たちの選択肢が今、必要なのではないか」と考えている。













