一部で続く理由…処分費負担、健康状態確認?
一部の保育施設で使用済み紙おむつの持ち帰りが今も続くのはなぜか。幼稚園教諭、保育士として30年以上働き、私立保育園長を務めた経験も持つ中部学院大短期大学部幼児教育学科の西垣直子特任准教授(保育学)に理由を聞いた。
無料クイズで毎日脳トレ!入口はこちら―以前は保護者に紙おむつを持ち帰ってもらうことが一般的だったが、今も一部で続いている。背景は。
昔は布おむつを使っていた。自宅におむつカバーと一緒に持ち帰って洗わなければならず、その流れが今も一部の自治体で続いているのではないか。
また、30年以上前はおむつが必要な3歳未満児は少なく、布おむつを使用する子どももいて、保育施設で処分する紙おむつは限られていた。私が勤務していた園では0歳児がいない年もあったが、(女性の社会進出が進み)3歳未満児が増えて処分費が負担になり、持ち帰ってもらうようになった事情もあるだろう。
―持ち帰りの理由に「子どもの健康状態の確認」を挙げる自治体は多いが。
保育施設で取り除ける便はトイレに流すので、自宅に持ち帰っても紙おむつに残った便から確認できるか疑問だ。現実的ではない。そもそも家庭でおむつを再び開ける保護者がどれだけいるのか。私も子育て中に持ち帰っていたが、開いて確認していなかった。
私の現場経験では、下痢のときでも保護者に持ち帰ってもらうことははばかられた。他の子どもへの感染症予防のため、ひどいときは園で処分し、保護者に口頭で伝えていた。
―保育施設で処分することにデメリットはあるか。
保護者、保育士の負担が軽減されるので両者にメリットがある。便に異常があれば、連絡帳や口頭で伝えられる。写真を撮影して見せることも可能。必要なときのみ保管し、保護者に見せればよい。
―私立でも持ち帰りはある。処分してもらうために求められることは。
保育施設の運営費は人件費が多くを占める。節約できるところはして、園児のためにおもちゃの一つでも買いたい。保護者から処分費を徴収することは負担をかける。自治体の補助が必要ではないか。