岐阜県羽島郡岐南町北部の地域で、国道21号や国道156号が通る県内随一の道路交通の要所です。上印食と下印食があります。

 「印」「食」それぞれにさまざまな由来が伝わっています。「印」は石を投げ合う合戦を意味する「印地」を示し、「食」は交通の要所「食(自貴)の渡し」を示すとする解釈のほか、「砂地の川底」や「周囲を石で巡らせた場」など地勢に関するもの、さらに地域にある五十一社大明神(生島神社)の「五十一」は「いい」とも読むことから、それが転じたとする説もあります。

 「食の渡し」が歴史に登場するのは、合戦記「承久記」が記された鎌倉期までさかのぼるそうです。国道の高架があり交通量の多い印食周辺はどこか近代的な印象がありますが、実はさまざまな由来が推察される歴史ある地名のようです。通る際は思いを巡らせてもいいかもしれません。

(岐南町歴史民俗資料館発行『地名物語』などを参照)

【答え】いんじき