岐阜県美濃市のほぼ中央部、東流する板取川左岸の地域です。美濃和紙の里会館があります。

 古くから美濃和紙生産の中心地でした。江戸時代に記された地誌は、書院紙や障子紙、小菊紙、半紙が漉(す)かれ、岐阜や関市のほか、美濃市の川湊・上有知(こうずち)で売り出されていたと伝えています。「岐阜県の地名」(平凡社)には、売り上げが「2400両に上った」と書かれています。1両は数万円ですので、かなりの額だったとみられます。

 「郷土の地名」(土屋一著)は「野生する蕨が牧谷のそこここに昔からよくみられたということから、蕨生という地名を名づけたのではないかと推定する」と説いています。

 なお、埼玉県には蕨市がありますが、こちらは美濃市の蕨生と同様、植物のワラビ説に加え、藁(わら)を焼いた火の「藁火」を由来とする説があるようです。

【答え】わらび