朝日大学病院放射線治療医 田中修氏

 今回は、前立腺がんの治療についてです。方法としては手術、抗がん剤、そして、放射線治療があります。まず手術に関しては最近、ロボット手術の普及もあって傷跡が小さくなり、以前より早く退院できるようになりました。

 放射線治療は、体の外から前立腺に集中して放射線を照射する外照射があります。そのうち前立腺の形状に合わせて照射する方法を、特に強度変調放射線治療(IMRT)といいます=写真上=。前立腺の形に合わせて放射線が照射されます。色がついている部分が強く照射されているところで、前立腺の下にある直腸にできるだけ照射されないようになっています。

 もう一つは、放射線を放出する直径1ミリ、長さ10ミリの金属を60個ほど前立腺内に埋め込む小線源治療です=写真下=。赤い線で囲った部分が前立腺です。前立腺の内部に金属が埋め込まれています。その金属から放射線が出て前立腺に影響を与えます。この放射線は2カ月もすれば、体外に与える影響も少なくなり、1年たてば放射能はなくなります。

 それぞれの治療にも得手、不得手があります。IMRTは、30分で治療が終わりますが、28~38回程度通院をする必要があります。通院でできるため、毎朝仕事に行く前に治療してから、出勤するという選択もできます。小線源治療は入院が必要となります。麻酔をしてから、2~3時間かけて小線源を前立腺内に挿入します。麻酔を用いて行います。3日ぐらいの入院で終わります。

 がんの進行期によって、できる治療方法が決まりますが、選択の割合は手術、IMRT、小線源治療がそれぞれ3分の1ずつぐらいです。さまざまな治療方法があるので、泌尿器科・放射線科の医師に話を聞いてみてください。

(朝日大学病院放射線治療科准教授)