2年連続リーディングに輝いた佐藤友則騎手とチェゴ
岐阜金賞を制覇し、東海3冠馬となったドリームズラインと大畑雅章騎手(笠松競馬提供)
笠松グランプリ3連覇のラブバレットと山本聡哉騎手、菅原勲調教師(右)
YJSファイナルの中山芝コースで3着に入り、笑顔の渡辺竜也騎手
YJSファイナルの中山芝コースで3着に入り、笑顔の渡辺竜也騎手
カツゲキキトキトをハナ差で破ったヴェリイブライト(場内モニター)
地方通算で3300勝超え、笠松騎手最多勝記録を更新した向山牧騎手。東海ダービーではアペリラルビーに騎乗
ラブミーチャン記念を制覇したチェゴと佐藤騎手
名古屋でら馬スプリントで最速の走りを見せたハイジャ(名古屋競馬提供)
中京ペガスターカップを制覇したグレイトデピュティ(島崎和也騎手)は、東海ダービーにも出走し、笠松最先着の4着

 大みそかまで年末シリーズが行われ、多くのファンでにぎわった笠松競馬。昨年は、ドリームズラインが岐阜金賞で東海3冠を達成し、佐藤友則騎手が2年連続のリーディングジョッキーに。「オグリの里2017十大ニュース・熱闘編」として人馬の活躍を振り返った。

 ①佐藤騎手、2年連続リーディング

 「さすらいの重賞・交流ハンター、白星量産」。笠松競馬のリーディングジョッキーに、140勝を挙げた佐藤友則騎手が2年連続で輝いた。2位に102勝の向山牧騎手、3位には99勝の筒井勇介騎手。佐藤騎手は名古屋でも37勝を挙げ、連対率は43%と笠松(38%)以上の高率をマーク。東海地区での信頼度は抜群だ。重賞勝ちはラブミーチャン記念、ライデンリーダー記念(チェゴ)と名古屋でら馬スプリント(ハイジャ)。賞金が高いJRA交流戦では、中央馬にも騎乗して活躍が目立った。3年連続リーディングを達成できれば、安藤勝己、川原正一、東川公則といった笠松を背負ってきた各騎手に続く真のエースといえよう。中央では、中京・フィリピントロフィーで初めての特別勝ちを収めたが、昨年は1勝のみで物足りなかった。金沢の吉原寛人騎手に先を越された重賞初Vを今年は狙いたい。リーディングトレーナーには、笹野博司調教師が16年を上回る127勝を挙げて、2年連続で輝いた。

 ②ドリームズライン、岐阜金賞制し東海3冠(10月13日)

 「最後は笠松、3冠ゴール」。1番人気・ドリームズライン(川西毅厩舎)が名古屋の駿蹄賞、東海ダービーに続く最後の1冠・岐阜金賞を制覇。24年ぶり、史上4頭目となる「東海3冠馬」が誕生した。大畑雅章騎手が騎乗し、笠松・アペリラルビー、兵庫・マイフォルテの追撃を振り切ってゴール。カツゲキキトキト騎乗でも、笠松のファンにおなじみとなった大畑騎手。「3冠を取れてホッとしています」。東海ダービー5度制覇の川西調教師にとっても悲願の岐阜金賞V達成。今年は笠松にも優秀な3歳馬がそろい、久々に東海ダービー奪取のチャンス到来か。名古屋勢と互角にぶつかりたい。

 ③ラブバレット、笠松グランプリ3連覇(11月22日)

 「レジェンドの不敗神話だ」。岩手のラブバレット(山本聡哉騎手)が、笠松グランプリ史上初となる3連覇の偉業を達成。トウケイタイガー(園田)とのマッチレースが予想されたが、ラブバレットがゴール前で突き抜けて、2着エイシンヴァラー(園田)に3馬身差の完勝劇。抜群のコース適性に「強かったです。とてもうれしい」と山本騎手。菅原勲調教師は、騎手時代にメイセイオペラでJRAのフェブラリーSを制覇したレジェンド。笠松では騎手で2勝(08年・スーパージョッキーズトライアル)、調教師で3勝と負け知らずの5連勝。笠松コースでの不敗神話は生き続けており、今年も4連覇目指してラブバレット参戦か。

 ④渡辺騎手、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)ファイナル進出

 「有力馬なら、優勝できたかも」。笠松、金沢で勝利を飾った17歳・渡辺竜也騎手(笹野博司厩舎)が、地方騎手トップの成績でYJSファイナル(大井、中山)に進出。総合4位で迎えた最終4レース目、2着以内なら優勝できたが、残念ながら表彰台には届かず総合8位。1番人気馬が3勝したファイナル。渡辺騎手は、騎乗馬4頭がいずれも9番人気以下と、最もくじ運に恵まれなかった。それでも、中山芝コースで3着と好走するなど、着順が人気を上回ったレースが三つもあった。これは出場14人のうちで渡辺騎手ただ一人。スタートセンスが良く、1年目は笠松で35勝、名古屋で2勝、金沢で1勝と計38勝を挙げた。笹野調教師や先輩騎手に温かく見守られて、笠松にもなじんできた。大舞台での経験を生かして、飛躍の年にしたい。

 ⑤カツゲキキトキト、オグリキャップ記念制覇(4月27日)

 「また笠松で走ってほしい」。単勝人気1.1倍に大畑騎手が好騎乗で応えた。一昨年の東海ダービー馬カツゲキキトキト(錦見勇夫厩舎)がオグリキャップ記念を鮮やかに逃げ切り、地方重賞10勝目を飾った。笠松では一昨年の新緑賞(木之前葵騎手)に続く重賞制覇。キトキトは、もともと笠松育ち(柴田高志厩舎)で新馬戦を勝利。名古屋に移籍し、地方競馬屈指のスターホースへと成長を続ける。JRA勢相手では2、3着が続いているだけに、悲願のダートグレード制覇を果たしたい。

 ⑥くろゆり賞ではキトキト敗れる(8月15日)

 「まさかのハナ差2着」。カツゲキキトキトが脚部不安による休養明けで惜敗した。笠松重賞・くろゆり賞で、ヴェリイブライト(川西厩舎)が、ハナ差でキトキトを破る「金星」を挙げた。騎乗したのは、YJSファイナルにも出場した愛知の加藤聡一騎手で、重賞初制覇。4コーナーからキトキトとのマッチレースになり、ゴール前での一伸びが光った。「最後は負けたかなあと思ったが、『勝ってる』と聞いてびっくり」。際どい写真判定だった。

 ⑦向山騎手が3300勝超え、笠松騎手最多勝記録

 「味わってみたい1着ゴール」。向山牧騎手が、昨年までに地方競馬通算3347勝をマーク。安藤勝己騎手がJRA移籍前に積み重ねた、笠松騎手最多勝の地方通算「3299勝」の記録を突破した。3300勝達成時には「的場文男さん(大井)を目標に、年金がもらえるまで頑張り、4000勝を目指します」と健在ぶりをアピール。連対率は毎年4割を超えており、頼もしいベテランだ。このほか、節目の勝利(地方競馬通算)では、東川公則騎手が2600勝、佐藤友則騎手が1300勝と快調。筒井勇介騎手と吉井友彦騎手が800勝、藤原幹生騎手は700勝、島崎和也騎手は300勝を達成。競馬場内でセレモニーが行われ、ファンと喜びを分かち合った。

 ⑧チェゴが2歳牝馬重賞2冠(11、12月)

 「最高の走りだ」。佐藤騎手が手綱を取ったチェゴ(井上孝彦厩舎)が、笠松名牝2頭のラブミーチャン記念とライデンリーダー記念を連勝した。北海道から転入したばかりの笠松所属馬として一変した動きで快走。他地区遠征馬や名古屋出張馬を蹴散らした。歴代優勝馬はジュエルクイーン、ミスミランダー(北海道)、ヤマミダンス(金沢)で、その後の活躍が目覚ましく、チェゴも出世馬として飛躍が期待できる。年末のライデンリーダー記念では末脚を爆発させ、3馬身差の圧勝。今年の東海ダービーを狙える期待馬の1頭に躍り出た。JRA認定勝ちがあるバレンティーノ、牡馬ではビップレイジングも有力だ。

 ⑨ハイジャ、名古屋でら馬スプリントV(6月20日)

 「ラブミーチャンに続いた」。名古屋でら馬スプリントで、笠松生え抜きのハイジャ(井上厩舎)が、佐藤騎手の好騎乗で制覇した。800メートルの電撃戦で、笠松勢は4年ぶりに「最速王」の栄冠を奪回。ラブミーチャンが3連覇したファイナル・習志野きらっとスプリント(船橋、1000メートル)にも挑んだが、12着に終わった。くろゆり賞3着、園田チャレンジカップではトウケイタイガーの2着と好走したが、脚部のけがが判明。昨秋から休養しており、スターホースの復帰が待ち遠しい。

 ⑩アペリラルビー、ライスエイト他地区重賞V

 「笠松勢が意地を見せた」。他地区の重賞レースに遠征した笠松勢が奮戦。アペリラルビー(向山騎手)が園田・のじぎく賞で圧巻のレース内容。4コーナーでは、とても届きそうもない位置から大外を飛んできて優勝をさらった。ライスエイト(池田敏樹騎手)は、金沢スプリントカップをスイスイと逃げ切った。名古屋に出張したグレイトデピュティ(島崎和也騎手)は新設の中京ペガスターカップを制覇。島崎騎手にとってはうれしい重賞初勝利となり、東海ダービーでも4着と好走した。

 笠松の年末シリーズの入場者は1日平均約2100人、馬券販売額は約2億5000万円を確保。28日のJRA開催余波もあってか、前年比ではやや減少した。「年末年始は地方競馬が濃い」のキャッチフレーズ。大みそかの騎手あいさつでは「これからも熱いレースで笠松競馬を盛り上げていきます」と力強い言葉とともに、詰め掛けたファンに紅白餅を配った。9日からの新春シリーズでは、北海道から笠松(笹野厩舎)に移籍した20歳の水野翔騎手も騎乗。金沢からは栗原大河騎手らが期間限定騎乗。YJSで競った若手騎手たちの直接対決にも注目したい。