小児科医 福富悌氏

 暑い夏が急にやってきました。天気予報を見ると岐阜県は日本中でも最高気温が高い地域が含まれていることがよくあります。その一方で昨年から感染拡大が始まった新型コロナウイルスは、予防接種が開始されたのにもかかわらず、流行が続いています。

 岐阜県では20日まで新型コロナウイルス「まん延防止等重点措置」が適用されていました。そのため外出には何かと不安が付きまとう上に、新型コロナウイルス対策でオンラインでの仕事や学校の授業もあり、暑い日にはエアコンで快適となった家の中で過ごすことが多くなっていると思います。このような状況により、体調不良を訴える人が多くなってきました。

 最近の急激な気温の変化は体力を消耗させ、自律神経系への大きな負荷となります。そのため少し外出するだけでも倦怠(けんたい)感、頭痛、腹痛、吐き気、目まいなどの症状が出ることがあります。この機序について説明すると=図=、不安やストレスがあると、脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)が放出されます。このCRFには2種類あり、CRFタイプ1は副交感神経に働き、大腸の運動を高めるため、腹痛や下痢になります。CRFタイプ2は交感神経に作用、胃の動きを抑制し、吐き気や食欲低下の症状が出てきます。

 この他に、交感神経と副交感神経の乱れは起立性調節障害となり、立ちくらみの原因となることもあります。このようなストレスが原因となる体調不良や自律神経の乱れを防ぐためには運動と睡眠、規則正しい生活が必要です。

 早く改善したい時には薬を用いることもありますが、自律神経に働く薬の場合は漢方薬が選択されます。胃腸症状が伴う場合には六君子湯(りっくんしとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)など。倦怠感が強い場合は柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、抑肝散(よくかんさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)など。立ちくらみがある場合は半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、真武湯(しんぶとう)などがよいでしょう。全体的に体力が消耗し元気がない時は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などもよいでしょう。急な暑さで体調がすぐれないときは漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。

(福富医院院長、岐阜市安食)