素早いチェアワークや力強いショットが勝敗を決める車いすテニス=愛知県江南市、江南緑地公園

 「エンジョイ!オリパラ」最終回は、車いすを駆使し、威力あるショットの応酬が魅力の車いすテニス。国枝慎吾(ユニクロ)が世界ランキング男子シングルスで1位、上地結衣(三井住友銀行)が女子シングルス2位と、国内選手の実力はトップクラスで、男女アベック優勝にも期待が集まる注目の競技だ。東京パラリンピックに出場する県ゆかりの選手、諸石光照や荒井大輔を輩出した岐阜車いすテニスクラブ(岐阜市)で、競技の魅力や観戦ポイントを聞いた。

 車いすテニスは、グランドスラムと呼ばれる四大大会(全米、ウィンブルドン、全豪、全仏)に部門があるなど、パラスポーツとして世界的な認知度が高い。パラリンピックでは男子、女子に加え、三肢以上に障害がある選手が男女混合で競う「クアード」があり、それぞれシングルスとダブルスがある。

 コートのサイズやネットの高さ、使うラケット、ボールなどは一般のテニスと同じ。テニスはノーバウンドか1バウンドで返さなければならないが、車いすテニスは2回までのバウンドが認められている。

◆強打応酬、展開スピーディー

 近年の車いすテニスのトレンドについて、同クラブの井上由美子さん(61)は「男女とも、球威で相手を圧倒するパワーテニスの時代」と解説する。

 強力なショットが武器となるが、同等に必要となるのは頭脳。強いショットによるスピーディーな展開でポイントが決まるため、相手が打つ前に動く「先読み」が必須となるためだ。

 トップ選手だと、2打、3打先を読み、自分の得意なショットによるポイントにつなげるなど、高度な頭脳戦を繰り広げる。広いコートをカバーする車いすの操作能力「チェアワーク」や正確なショット技術はもちろん、相手の裏をかく巧みさも見どころとなる。井上さんは「日本勢の実力は常に世界トップクラス。複雑な駆け引きで勝機を見出していくさまは本当に見事」と強調する。

◆「今が黄金時代」

 クアードは「四肢まひ」を意味する英語「Quadriplegia(クアードリプリジア)」の略称。テーピングで手にラケットを固定したり、電動車いすを使ったり、選手によって特徴が異なる。相手の長所を封じて、自分の長所を発揮するために、多彩な工夫や技術がぶつかり合う。諸石は東京パラリンピックではクアードに出場するが、「世界に出て行ける選手が多く、車いすテニスは今が黄金時代。多くの人に見てもらい、その卓越したプレーとスピーディーな展開のとりこになってほしい」と力を込める。