甲子園に6度導き、ベスト8の実績を持つ田所孝二監督が就任して9度目の夏を迎える岐阜第一。名将が常にV争いする県内トップ校に育て上げてきたが甲子園にはあと一歩届かず、悔しい思いをし続けてきた。中でもエースの故障、コロナ集団感染などアクシデントにも見舞われてきた。今チームも昨秋23年ぶりに県制覇したが東海は左腕二枚看板の故障もあり、初戦で優勝校の豊川(愛知)に大敗。春の県大会もインフルエンザによる欠場者が相次ぐなど3位だった。41年ぶり夏の甲子園への鍵はいかに万全に挑めるかどうかだ。
第106回全国高校野球選手権岐阜大会は抽選を終え、7月6日から熱戦の火ぶたを切る。甲子園球場開場100周年のメモリアルな年の岐阜県代表の座をかけ、有力校ひしめく激戦必至の熱い夏になることは間違いない。有力7校をそれぞれのキーワードを軸に直前リポートする。
■昨秋のけがばねに、2年生エース水野が万全調整
「もう、二度とあんな思いはしたくない」。
好素材の2年生が多い今チームの中でも投打の大黒柱として悲願達成の鍵を握る左腕のエース水野匠登は昨秋を思い起こし、唇をかみしめる。県大会決勝県岐阜商戦で、痛み止めを打ちながら投げ抜き、県制覇したが、代償は大きく、左ひじじん帯損傷で、東海大会では1球も投げられなかった。
「1勝すれば、甲子園のマウンドに立てたと思うと悔しくて仕方なかった。でも悔やんでも仕方ないと気持ちを切り替えた」と2年生エース。万全の状態で迎える夏を目指してきた。
無理をしてボールをにぎらず、ウエートトレーニングや走り込みなどで下半身を強化し、体重も75キロから80キロにアップ。...