岐阜城北の優勝で幕を閉じた第106回全国高校野球選手権岐阜大会。低反発の新基準バットが導入されて初めての夏となったが、今夏の全63試合と過去20年間を比較したところ、本塁打は4割以上減少し、勝ちチームと負けチームの平均得点差も減少傾向にあった。新基準バットは投手の負担軽減や受傷事故防止のため導入されたが、試合での効果としては、長打力のあるチームの得点力が抑えられることで、対戦チーム同士の力が肉薄しやすい環境になっている可能性がありそうだ。
新基準の金属バットは、今春の選抜高校野球大会から導入された。最大直径が3ミリ細くなるなど反発力を抑えたもので、打球の初速が遅くなるとされている。
過去20年の本塁打は1大会当たり平均28本だが、今夏は46%減の計15本で、1試合当たりだと0・24本だった。これは2012年の11本、0・16本に次ぐ少なさだった。13~23年は計20~30本台で推移し、1試合当たりで0・6本に迫る年もあったことから、有意な減少が見て取れる。
勝ちチームと負けチームの平均得点差は近年、拡大傾向にあり、23年は過去20年で最大の6・4点まで開いたが、今夏は5・5点に縮まった。負けチームの平均得点は横ばいだったものの、勝ちチームが1点ほど減少していた。また、コールドで決着がついた試合は21年に30試合に達し、22年は28試合、23年も30試合と高止まりしていたが、今夏は25試合に減少。全試合に占める割合は6年ぶりに4割を割り込んだ。
高校野球の岐阜大会は例年60試合超が行われているが、昨年は46%もの試合が「両チームの力の差があり過ぎて九回まで試合ができない」というコールドとなっていた。新基準バットの導入で差が緩和されるのであれば、惨敗で夏を終える球児が少なくなり、ひいては高校野球の魅力も高まるだろう。今後数年の推移を見る必要もありそうだ。
◇
データは、引き分け再試合を含む04~23年夏の1309試合と、今夏の63試合を比較した。20年は、新型コロナウイルス禍で実施された県独自大会を集計した。数値は本紙高校野球紙面の投打成績から取り、本塁打はランニング本塁打も含めた。