第106回全国高校野球選手権大会は7日、開場100年を迎えた甲子園球場で開幕した。開会式に続いて1回戦3試合が行われ、9年ぶり4度目出場の県代表・岐阜城北は延長十一回タイブレークの末、2年連続22度目の智弁学園に6-9で競り負け、1998年以来、26年ぶりの1回戦突破はならなかった。
◆エース中本、奮投12K
タイブレークの延長十一回に及ぶ大熱戦に競り負けたが、エースの粘投あり、外野手の好返球あり、重盗ありと、岐阜大会でノーシードから頂点まで駆け上がった岐阜城北の野球を、聖地・甲子園でも存分に発揮した。秋田和哉監督は目に涙をためながら「良い面も悪い面も出し切った。でも悔しい」と唇をかんだ。
終盤までは上々だった。三回に2本の適時打で先制。エースの中本陽大は毎回のように走者を背負ったが、あと一本を許さない粘りの投球を披露した。五回と八回には右翼手、左翼手からそれぞれ好返球があるなど、外野の堅守は甲子園でも健在だった。
味方の守備に応えるかのように、エース中本もギアを上げた。六回は4番を内角の直球で見逃し三振、5番を直球で空振り三振、6番を高め143キロの直球で空振り三振に切って取るなど、流れを左右しかねない六回にクリーンアップを三者三振に抑えてみせた。「大事な場面で、自慢の直球で三振を取れたのは成長」と中本。岐阜大会で躍進したエースが12奪三振、150球の熱投を見せ、智弁学園の強力打線を手玉に取った。
タイブレークの十回裏には3点差を追い付くなど、何度も何度も見せ場をつくった岐阜城北ナイン。最後は競り負けたが、粘り強く、伸び伸びとした「城北野球」を大舞台でも見せた。秋田監督は「(岐阜大会で)ノーマークのチームが、甲子園で勝利まであと一歩のところまでやれた。成長した」と選手たちをねぎらった。
◆「何とか後ろに回そうと」
岐阜城北・富田主将(延長十回に適時打)「自分はつなぐだけの打者。何とか後ろに回そうと思った。憧れていた甲子園の舞台に立てて良かった」