異常な猛暑から選手を守るための高校野球改革の必然性が高まっている。日本高野連でも今夏、開幕から3日間の限定で朝、夕の2部制を試験導入し、十回からのタイブレーク導入や、クーリングタイム実施などに取り組んでいる。中でも議論が始まった7イニング制は、9イニング制で行われてきた野球文化そのものを激変させる可能性があり、現場サイドからの反発も大きい。8月で母校県岐阜商の監督を勇退した鍛治舎巧氏(73)は「7イニング制より前に改革すべきことがある」と主張する。アマ野球の第一線で活躍し続けてきた鍛治舎前監督に、独自アイデアの高校野球改革について聞いた。
◆IOC会長は「長過ぎる」
―7イニング制についてどう思われますか
鍛治舎 野球の7イニング制導入は、私が、五輪ワールドワイドパートナー(トップスポンサー)であるパナソニックの担当役員時代、野球を五輪正式種目に復活させるべく、当時、競技種目決定の責任者ティモ・ルメ氏に直談判した際、彼から「野球単独復活は難しい。例えば女子ソフトボールと男子野球を一つの競技として申請すれば検討の余地がある」との指摘があったことや、当時IOC会長のロゲさん(故人)と会食した際にヒントを得たことに端を発します。
ロゲさんに率直に聞くと、五輪種目復活が難しい理由として「メジャーの主力級が出ない、そのメジャーがドーピング問題に対しクリアなスタンスを取っていない(当時)。もう一つ、あえて言えば、試合時間が長過ぎる」との指摘がありました。
その内容を当時世界野球連盟のリカルド・フラッカーリ会長に伝え、種々検討を重ねた結果、世界野球ソフトボール連盟が結成され、国際大会は野球もソフトボール同様7イニング制が取り入れられ、9月上旬のU18アジア選手権も7イニング制です。
日本国内の、高校球児を夏の酷暑から守るための対策とは全く違う発想から生まれています。
さらに言えば、甲子園開催は選手権だけでなくセンバツもあります。3月は、むしろ肌寒く、酷暑対策に当てはまらず、同一の理由付けは難しいですね。
◆DH制取り入れるべき
―7イニング制より先に着手すべきこととは。...