トークショー第2ステージ。ニット帽を脱いで丸刈り姿を披露した貫太君

 「またしゃべりましょうか」と漫才師のような乗りでファンの前に再登場した貫太君。レースでの騎乗ぶりやプライベートでも注目を浴びる愛されキャラ。第2ステージでは、好きな女性のタイプや休みの過ごし方、ファンの間であれこれとささやかれている「100勝・髪形問題」でも本音を語ってくれた。

貫太スマイルに癒やされるファンは多い

 ■「若手メンバーで仲良くしています」

 レーシングアナ・長谷川満さんの鋭い突っ込みにも、笠松2度目のステージで余裕を見せ、貫太スマイルは全開。まずは休みの日の行動が明らかになった。

 プライベートで一緒に遊びに行くジョッキーは「西塚洸二、角田大和、小沢大仁です。この若手メンバーで仲良くしていますね」。ショッピングは「あんまり服には興味がなくて、お姉ちゃんとかと一緒に買いに行きますね。この服も買ったばかりのおニューです」とトークショー出演のため、そろえてきたそうだ。

 ここで長谷川アナは、貫太君が第2ステージのために着込んできたインナーにもわざとらしく注目。貫太君は笑いながら「何が出てくるかな。まさかの『ウルトラマンチャン』(長谷川満さんオリジナルTシャツ)です」と上着を開いて見せると「(僕を使って)ここで宣伝するんかい」とあきれた様子だった。

まさかの「ウルトラマンチャンTシャツ」を披露

 自分のファッションセンスには無関心のようで「いつも一緒なの着ていますが、(身長176センチと長身の)松本大輝という先輩騎手がすごくおしゃれで、この前、一緒に買い物をしてそろえてもらいました。助かります、大体おしゃれになるんで」とサポートに感謝した。

 ■「彼女を絶賛募集中で好きなタイプは川口春奈さん」

 12月で21歳になったばかり。「彼女がいたら良かったんですが、絶賛募集中です。よろしくお願いします」と詰め掛けたファンにも呼び掛け。好きなタイプは「女優だと川口春奈さんです。バラエティーに出ているようなちょっとホワッとした感じの人がいいですね。キリッとしているよりも、のほほんと生きている人の方が好きかな。優しい方を探しています」と猛アピール。
 
 「保護者会」とも呼ばれる親世代のファンたちに交じって、若い女性の姿もあった。貫太君はどうやらお母さんタイプの人がいいようで、ジョッキーとしても早く一人前になって「恋人」の対象として見られるよう成長していきたい。

長谷川満さん(左)に女性の好みなども聞かれた貫太君

 ■「休みの日にゴルフ、18ホールはちょっときつい」

 ジョッキーは土日のレースを終えると月曜日が休日となる。「最近は休みの日にはゴルフをやっています」と第1ホールでのスイングを披露。中学まで野球をやっていた貫太君。「(スコアは)まあ120ぐらいですかね」とゴルフの腕前の方は「良化途上」のようだが「やっていて面白くはないです」の一言には笑いの渦に包まれた。

 「18ホールまではちょっときついです。集中力があまり続かなくて、ハーフ(9ホール)ぐらいがいいですね」と。競馬のレースでは、短距離よりも中長距離の方が好結果を残しており、中央では芝(23勝)よりも、ダート(52勝)の方が勝率も倍以上に高い。どうやらタフな馬場の方が得意だが、長くても2~3分で決着する短期決戦の競馬は、貫太君の性に合っているようだ。ただ土日で24鞍乗ったこともあり、集中力とスタミナの強化は課題となってくる。

 ■「常に元気満タンです。バリバリ乗っているんで」

 土日はJRA、平日は笠松など地方競馬。命懸けの過酷なレースが毎週続き、体調管理は大変そうだ。貫太君は「同じサイクルなんで、体も慣れてきますし、常に元気満タンです。体を動かすために、第1レースからバリバリ乗っているんで。でも寒い時季はあんまり好きじゃなく、夏の方が体も動きますね」。寒さ対策は「下にパッチをはいて、上も風を通さないような服を着て乗ります」。

得意の笠松コース。昨秋のヤングジョッキーズシリーズでは2勝を挙げた田口貫太騎手(右)

 昨年夏にはフランス遠征もあって2カ月間、日本を留守にしたが「勝ち鞍的には前年より数字が伸びて良かったかなと。でも2、3着も多くて悔いは残っており、新しい年はより頑張っていきたい。たくさん乗せてもらっている分、レースにおいては『引き出し』という部分が増えていて、そこが強みになってきた」。

 2年目に成長した面は「レースで落ち着いて乗れるようになった。課題は、接戦や追い比べで負けてしまうこともあるので、そこを詰めて1着を多く取れるようにしたい」。体力強化では「トレーナーさんがいて、馬の上でできる動きを増やすため、ピラティスなどをやって体の可動域を広げるトレーニングが多いです。減量面は大丈夫ですね」と体を軟らかくすることで肉体的にもまだまだ成長できそうだ。

 ■「重賞を勝つため、日頃の行いから徳を積んで、運も味方に」

 GⅠレースには5鞍騎乗した(24年)。「たくさん乗せていただいた。やっぱり雰囲気が違いますし、ジョッキーをやっていたら、GⅠには毎回乗りたいし、勝てるように頑張っていきたい」

 重賞には25回乗ったが、一度も勝てず。新年の目標は「まず中央の重賞を勝って、GⅠでも活躍したい。勝つためには『運』も必要なんで、日頃の行いから徳を積んで運も味方にしていきたいです」。重賞未勝利で大きなことは言えないと分かってきたようで、まず今年は重賞初V、そしてGⅠ戦線で頑張りたい。

 ■髪形はアンカツさん、柴山さんも注目していた

 貫太君のトークショーも4コーナーを回って最後の直線に入った。長谷川アナも満を持してムチを入れて、この日の「本題」ともいえる「100勝・髪形問題」に突入。ニット帽で隠してきた頭髪の伸び具合は果たしてどんな状態なのか。ノスタルジックな「昭和顔」にはやはり丸刈りが似合うというファンの意見も多いのだが。 

 2勝を挙げたフランスからの帰国時には2センチほど伸びていた。やはり、年齢相応の髪形にすることが貫太君の本心のようだが、日本での騎乗時には丸刈りに戻していた。師匠の大橋勇樹調教師には「見習騎手の100勝までは丸刈りでいるように」と指導を受けているからだ。減量騎手を卒業できる101勝目を挙げれば「好きなように伸ばしていいよ」と長髪解禁になる。

柴山雄一騎手(右)とのトークショーでは「金髪」発言もあり、盛り上がった

 貫太君の父・輝彦調教師の騎手時代には、同じレースで騎乗していたアンカツさんは、田口親子とも「笠松ファミリー」として長い付き合い。「どういう髪形になるのか。どういうのが合うのだろうか」と注目し「できれば、あのままでいてほしいな」とのことだった。

 また前年の大みそか、ジョッキーとして現役最後のステージで涙を流した柴山雄一騎手は「(レースとかに)金髪で来てほしいね。『貫ちゃんどうした、はじけたね』となってもいいかも」とイメチェンを期待。その後「(トークショーの合間に)ちょっと考え直して『金髪はやっぱあかんな』と、伸ばすのもあと1センチぐらいにしといてほしい」と発言を修正していた。

 本人は「お楽しみにしてください」とニヤリ。あれから1年、心境の変化はあったのか。アットホームな笠松で本音を語ってくれた。

 ■「まあ、当たり前に伸ばそうかなと思っています」

 「100勝を突破したら考えたい」と言っていた髪形問題。これまでJRAで75勝、地方競馬でのJRA交流戦で19勝を挙げており計94勝。100勝まで「あと6勝」に迫っており、到達は間近。減量騎手卒業とのセットで新たな一歩を踏み出す。

「丸刈りそのまま」もいいが、やっぱり「伸ばそうかな」

 本人は「もうすぐですね。まあ、当たり前に伸ばそうかなと思っています。いやいや」と今の心境を語り始め、ファンには「そこ、笑うところですね」と余裕も見せた。「まあ、師匠と相談して、どのタイミングでいけるかと」

 ■「23とか24で丸刈りだったら…おかしい」

 ここで力を込めて思いをぶつけた貫太君。「僕21歳で、23とか24で丸刈りだったら『あの人、ちょっとおかしいんじゃないか』と。競馬ファンの皆さんには『丸刈りだからいいな』と思われるんですけど。僕の知らない人が24歳で丸刈りだったら『こいつ大丈夫か』と思いませんか。僕はそう思いますけどね」とヘアスタイルについて激白。現状では中学生のようにも見られ、そろそろ彼女もつくりたい20代前半の青年なら当然の気持ちだろう。 

「保護者会」世代や若い女性ファンも詰め掛けたトークショー

 第2ステージも終盤を迎え、ファンの期待通りの展開となった。お約束通り?に貫太君はニット帽を脱いで現状の髪形を披露してくれた。師匠との約束もあって「まださすがに丸刈りですけどね」と。この瞬間を待っていたファンたちから拍手が湧き、もちろん金髪ではなく「ああ、良かった」という空気に包まれた。

 ■「そのまま」がいいのか、「伸び」が勝るのか

 ここで貫太君の髪形について「ファンの拍手でアンケートを取ってみよう」と長谷川アナ。「そのまま」がいいのか「伸び」が勝るのか。

 「100勝しても今の貫ちゃんのままがいいと思う人」に大きなな拍手が湧き起こると、貫太君は「まあまあ、まあまあ」と抑えてほしそうなしぐさ。次に「100勝したら好きなようにガンガン伸ばして、ロン毛の貫ちゃんでもいいと思う人」にもパチパチと温かい拍手が送られると「いいよいいよ」とうれしそう。現状維持派がやや多かったが、貫太君の思いを尊重する笠松ファンも意外と多くいた。

永島まなみ騎手(右)と競り合い、初勝利を笠松で飾った田口騎手。厩務員さんに頭をなでられ、うれしそうだ

 ■頭ナデナデ、にこやかな貫太君に癒やされるファンも

 これまでは見習騎手でもあり、騎乗馬を勝利に導いた直後、厩務員や馬主さんに頭をナデナデされて、にこやかな貫太君の姿には「癒やされる」とファンを喜ばせてきたのは確かだ。

 最後は長谷川アナが「ファンの皆さんの期待もありつつ、貫太君自身の好きなようにして、びっくりさせていただいてもうれしいです」と髪形問題は、やはり本人の気持ちが第一ということでまとまった。

「挑戦」と手書きした色紙をじゃんけん大会でプレゼント。再び「グー」を連発した

 ■新年の抱負は「挑戦」の2文字

 サイン色紙の2回目のプレゼントも行われた。新年の抱負を手書きし「挑戦」という2文字を掲げた貫太君。「高いレベルでジョッキーとして挑んでいきたいですし、また海外にも行きたいなと。自分の現状に満足することなく、挑戦していけたらなと思うので、この字にしました」と意欲を語った。

 色紙のプレゼントは再びじゃんけん対決に。第1ステージの流れで貫太君はまた「グー」を続けて出したが「そんなに甘くないですからね」と3回目には「パー」を出すと、勝者は3人に絞られた。最後はその3人でのじゃんけんとなり、1人が勝ち抜いて貫太君直筆の色紙をゲットした。

 トークショーもゴールを迎え、貫太君は「きょうは年末の忙しい中、こんな僕のトークショーにお集まりいただき、ありがとうございました。今から笠松競馬名物の東海ゴールドカップも発走するので、皆さんぜひ熱い競馬を見てください」とあいさつ。地元ファンらは「貫太、頑張れ」と声援を送り、さらなる飛躍を期待。大きな拍手に包まれた。

東海ゴールドカップの表彰式で、プレゼンターも務めた貫太君(右から3人目)

 ■東海ゴールドカップでプレゼンターも

 トークショー後に行われた笠松競馬年末の大一番・東海ゴールドカップでは、今井貴大騎手騎乗の名古屋・フークピグマリオンが鮮やかな差し切りV。重賞8勝目と強さを見せつけた。表彰式には貫太君も参加。5年前、父の管理馬・ニューホープで勝って以来となった東海ゴールドカップでのセレモニー。ウイナーズサークルでは今井騎手への花束のプレゼンターも務め、勝者を祝福した。

 昨年11月には京都でJRA初勝利を飾った渡辺竜也騎手へのプレゼンターやプラカードを掲げる役も務めた貫太君。これは自身の初勝利で渡辺騎手がプラカードを持ってくれたことへのお返しでもあった。東海ゴールドカップでの記念撮影では、副賞として贈られた岐阜県産米のボードを手に晴れ舞台を体感。今度は自ら中央重賞を勝って、祝福を受ける側になりたい。 

女性ファンらが手にした色紙にサインをする貫太君

 セレモニー終了後には、優勝ジョッキーではなく、人気者の貫太君がファンへのサインをする役回りに。女性ファンらが差し出す色紙に心を込めて応え、ゆったりと交流を深めていた。

 ■どんな髪形でもファンを和ませてくれそう

 年明け5日間の騎乗では35戦未勝利と足踏み。2着1回、3着2回と歯がゆいレースが続いた。100勝突破は近いが、丸刈り姿が続くことを期待するファンが多いのも事実。複雑な思いになるが、負担重量でも対等に戦える1人前のジョッキーになるため、早く達成してほしいものだ。

 大みそかの笠松開催を盛り上げてくれたが、それにしてもジョッキーでここまで髪形が注目されるとは驚きだ。「僕、明るいんで」というキャラクター通り、いつも自然に笑顔がこぼれる貫太君。今後どんな髪形になっても応援するファンの心を和ませてくれそうだ。
 


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