贋作と判断された油彩画「自転車乗り」(徳島県立近代美術館提供)

 徳島県立近代美術館(徳島市)は8日、6720万円で購入し贋作と判断した油彩画「自転車乗り」について、11日から同館で無料公開すると発表した。期間は6月15日まで。担当者は「本物ではなかったことを謝罪するとともに、購入経緯を説明し信頼回復に努めたい」としている。

 同館によると、作品の展示とともに、購入の経緯や贋作と判断した理由を載せたパネルを設置。期間中の計7日間、学芸員による説明会も開く。同館は法的措置も視野に購入元の画廊に返金を求めて交渉している。

 作品の購入は1999年で、フランスの画家ジャン・メッツァンジェが描いたとされた。昨年6月の海外報道で、ドイツの有名な贋作家ウォルフガング・ベルトラッキ氏の作品リストに含まれていることが発覚。ドイツ警察の情報提供などから同館は今年3月、贋作と判断した。今夏までに科学調査を行い偽物と裏付ける方針。

 高知県立美術館(高知市)が所蔵する油彩画「少女と白鳥」も、同じ贋作家による偽物と高知県が判断。展示に向け調整している。