パリのルーブル美術館にある紀元前23世紀のアッカド王朝時代の碑(ゲッティ=共同)

 古代メソポタミア文明で、4千年以上前の人類最古の帝国とも呼ばれるアッカド王朝の首都「アガデ」を特定しようと、長崎国際大(長崎県佐世保市)の川上直彦准教授らのチームがイラク中部の遺跡で地表調査を始めたことが10日までに分かった。日本隊によるイラク中部・南部での考古学調査は2003年開始のイラク戦争などの混乱で中断しており、二十数年ぶりの再開となった。

 アッカド王朝は現在のイラク中部・南部に成立。サルゴン王(紀元前2300年ごろ)が言語や民族が異なるシュメール、アッカド両地域の都市国家を統一して打ち立てた。首都の位置は長年の謎として残っている。イラクは近年、治安改善で欧米隊も発掘に戻っており、川上氏らは今後4年がかりで、イラク政府との合同調査を進める。

 川上氏は西アジア考古学が専門。くさび形文字の粘土板文書に刻まれたアガデに関する文字情報をチグリス川の古代流路の地図と照合、流路沿いの遺跡のうち、現在の首都バグダッド北方約50キロに位置する「テル・シンカー遺跡」がアガデに相当すると推測した。