大阪地裁などが入る合同庁舎

 投資顧問会社社長らへの強盗殺人罪などで死刑が確定した岡本啓三元死刑囚=当時(60)=が再審請求中の2018年に死刑を執行されたのは弁護権の侵害で違法として、元弁護人3人が国に計約1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で大阪地裁(大森直哉裁判長)は14日、請求を棄却した。

 原告側は憲法32条の「裁判を受ける権利」では、誤判に対する法的な救済を求める権利として再審請求権が保障されていると主張。国際人権規約の一つ「自由権規約」では再審請求中に死刑を執行されない権利が保障されていると訴えた。

 対する国側は刑事訴訟法442条の「再審の請求は刑の執行を停止する効力を有しない」という規定に基づき執行は適法だと反論。自由権規約についても再審請求中の死刑に関する条文や法的拘束力はないなどとして請求棄却を求めた。

 訴状によると、再審請求中の死刑執行で請求人の命を救うという目的を果たせなくなったとし、国は弁護人の活動を最大限保護すべきだとしている。