【ワシントン共同】米ペンシルベニア大などのチームは15日、高アンモニア血症を起こす重い遺伝病の乳児に、ゲノム編集を使った治療薬を投与する臨床試験で一定の症状改善が見られたと発表した。乳児の遺伝子の特徴に合わせて薬剤を開発しており、米メディアは「オーダーメードのゲノム編集治療を受けた最初の患者の1人」と報じている。経過は良好という。
患者は100万人に1人の割合で発症する「カルバミルリン酸合成酵素欠損症」の患者で、生後9カ月半。アンモニアの解毒に必要な酵素を作る遺伝子に異常があり、生後間もなく診断されて半数が死に至る厳しい病気とされる。
患者によって遺伝子変異の特徴が異なり、この乳児は2カ所の遺伝子に異常があった。生後7〜8カ月の間に2回、点滴で薬剤を注入。現在、治療前に比べて食事の量が増加し、アンモニアを解毒する薬の量は半分に減ったという。
生物の遺伝情報を自在に書き換えることができるゲノム編集の一種で、遺伝子を構成する「塩基」を変換する「塩基編集」で薬剤を開発した。