講演する井手俊作さん=18日午後、福岡市

 韓国のノーベル文学賞作家ハン・ガン(韓江)さんの代表作「少年が来る」を翻訳した井手俊作さん(76)が18日、福岡市博多区の福岡アジア美術館で講演した。同作品を「凄惨な現場を生々しく描いている」と指摘。韓国文学の魅力を解説した。

 「少年が来る」は、民主化を求める市民らが軍に虐殺された1980年の「光州事件」がテーマ。

 講演には聴衆約200人が集まった。79年の朴正熙大統領暗殺や、48年に済州島島民が虐殺された「4・3事件」など、韓国の近現代史も説明。井手さんは「悲劇が無数に起きている朝鮮半島で、根源的な問いに対して真摯に向き合う姿勢に、強く心を引かれる」と語った。