文化庁が国指定の史跡や名勝、天然記念物の防災対策を強化するため、補強箇所数と完了時期の目標値を初めてまとめたことが18日、分かった。災害リスクが高く世界遺産や特別史跡にある斜面など、250カ所程度を優先的に補強することを決め、2030年度の完了を目指す。また、史跡などにある各地の石垣約100カ所を対象に45年度までをめどに耐震診断と保全措置を終える。
目標値は、対策を確実に進めるために必要だと判断した。政府が6月にも決定する国土強靱化の実施中期計画に盛り込む。
史跡を巡っては、松山城跡(松山市)付近で昨年7月、麓の民家が土砂崩れに巻き込まれ3人が死亡。16年の熊本地震や昨年1月の能登半島地震では、史跡内にある熊本城(熊本市)や金沢城(金沢市)の石垣が崩落した。文化庁は自然災害による文化財被害を防ぐため、対策を急ぐ。
史跡や名勝、天然記念物は城跡や古墳などの遺跡や、峡谷や岩山といった景勝地などの文化財で、全国に計3千件以上ある。土砂崩れの危険性が高い丘の上や山中に位置するものもある。