乗客でにぎわう成田空港の到着ロビー=昨年3月

 外国人の不法就労やテロを防ぐため、政府は、渡航前にオンラインで滞在目的などを尋ねて入国可否を判断する制度の創設を進めている。米国の電子渡航認証システム(ESTA)をモデルにした「日本版エスタ」として、2028年度中の運用開始を目指す。短期滞在ビザ取得を免除する国・地域が対象。入国時の審査効率化の方法も検討している。

 出入国在留管理庁によると、現在は日本に向かう航空機の乗客リストを航空会社から離陸後に提供してもらい、不法滞在や犯罪歴のある外国人の情報と照合。結果を基に日本の空港で審査しているが、退去命令を受けた外国人らの対処に時間がかかるなどの問題が起きていた。

 新たな制度では、渡航の数日前までに氏名や、滞在の目的や場所といった情報を提供してもらうことを想定。入管庁がチェックし、不法就労などが疑われる場合は、航空機に搭乗させないようにする。外務省によると、米国や韓国など71の国と地域が短期滞在ビザの取得を免除されている。

 米国では01年の同時テロを機にESTAが創設され、カナダなどでも導入された。