リモート治験の仕組み

 愛知県がんセンターと聖マリアンナ医大病院(川崎市)などは、がん患者がかかりつけ病院からオンライン診療を使ってリモート形式で参加できる点滴薬の治験を始めた。内服薬のリモート治験はすでに実施しているが、点滴薬では国内初という。地方の患者の通院負担軽減が期待される。

 近年、患者の遺伝子変異を調べて個人に合う薬を使う「がんゲノム医療」が広がる。患者に合う治験中の薬が見つかっても、実施する医療機関が都市部に集中しているため、地方の患者が参加を断念するケースがあり課題となっている。

 治験の対象は「HER2」という遺伝子に異常があるタイプの固形がん患者。センターなどが患者のかかりつけ病院と連携し、オンラインで患者に治験の説明や診察を行う。かかりつけ病院に点滴薬を送付し、必要な検査や点滴はかかりつけ病院が行うため、患者はセンターなどに出向く必要がない。

 治験を率いるセンターの谷口浩也医長は「リモート治験が広がることで、患者の治療の選択肢増加につながってほしい」と話した。