【ジャカルタ共同】インドネシア社会省が、国家の名誉称号「英雄」の候補者に、1998年まで32年間独裁政権を続けた故スハルト元大統領を含め、物議を醸している。最終承認者のプラボウォ大統領はスハルト氏に近く、現実味を帯びる「英雄化」に人権団体は「罪を消し、歴史をゆがめる試みだ」と反発する。
英雄称号は、インドネシアの独立や発展に貢献した故人に、大統領が毎年11月に授与する。3月に発表された候補はスハルト氏や故ワヒド元大統領ら計10人で、最終決定後、称号委員会が選考する。サイフラ社会相は4月23日、スハルト氏への批判を念頭に「賛否両論は当然だ。英雄候補も完璧ではなく、人は過ちを犯す」と擁護した。
スハルト氏は2010年と15年にも候補入りしたが称号を逃した。ただ現職のプラボウォ氏はスハルト氏の元娘婿で、独裁政権を支えた元軍人だ。
国内外の計27の人権団体は今月15日「厚かましい侮辱で、被害者への裏切り行為だ」と声明で糾弾。英雄候補への反対署名は7千人を突破した。