東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事側への贈賄罪に問われた出版大手KADOKAWAの前会長角川歴彦被告(81)の公判が20日、東京地裁であった。被告人質問で弁護側から、スポンサー選定の対価として元理事側への業務委託費支払いを了承したかについて問われ、知らなかったと述べた。その上で「私に決裁権はない」と強調し、情報共有もされていなかったと改めて無罪を主張した。
これまでの公判で、検察側の証人として出廷した同社社員は、被告が支払いを了承した打ち合わせに同席していたと証言したが、被告はこの日、社員が言及した日の会合の目的は異なるもので、社員は同席していなかったと反論した。
起訴状によると、元専務ら2人と共謀し、スポンサー選定などに関して有利な取り計らいを受けられるよう元理事の高橋治之被告(81)=受託収賄罪で公判中=に依頼(請託)。謝礼として2019年9月〜21年1月、計約6900万円を高橋被告側に提供したとされる。
事件を巡っては東京地検特捜部が、全5ルートの計15人を立件した。