【オスロ共同】優れた業績を上げた数学者に贈られる「アーベル賞」の授賞式が20日午後(日本時間同日夜)、ノルウェーの首都オスロで開かれ、ノルウェー国王ハラルド5世が京都大数理解析研究所の柏原正樹特任教授(78)にガラス製の盾を授与した。アーベル賞は「数学のノーベル賞」ともいわれる権威ある賞で、日本人が受賞するのは初めて。
ノルウェー国王から直接盾を受け取った柏原さん。授賞式でのスピーチでは「数学において新しいものを創造することが大切だと(恩師の)佐藤幹夫氏から学び、研究人生での重要な指針となった」と話し、妻への感謝も述べた。満員の会場からは長い拍手が続いた。
授賞理由は「代数解析学および表現論、特にD加群理論の発展と結晶グラフの発見に対する根本的な貢献」。新たな数学分野の扉を開いたと評価された。アーベル委員会のヘルゲ・ホルデン委員長は「数学はとても専門的だが、彼はその複数の分野を結びつけている点が非常に注目すべきだ」と柏原さんをたたえた。受賞者は28人目で、賞金は750万ノルウェークローネ(1億円超)。