師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が何度も阻まれた綱とりの壁を、大の里は難なく突破した。後続に3差をつけ、余力を残して2場所連続制覇。周囲のふがいなさが浮き彫りとなった。
1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、綱とりに挑んだ大関が13日目に優勝を決めるのは初めて。貴乃花や3代目若乃花の両横綱らと激闘を繰り広げた武蔵川親方(元横綱武蔵丸)は「今はレベルが低すぎる。体が大きければ有利。豊昇龍や琴桜も物足りないし、大の里と当たる力士の気迫もない」と厳しく指摘した。
大の里の出世の速さは想像の域を超えている。所要では大関が1年半の9場所、正式に決まれば横綱は3年目に入ったばかりの13場所。複数の親方からは「強いのは確かだが、他があまりに弱い」といった声が聞こえる。
最高位に14年も君臨し、史上最多の優勝45度を樹立した宮城野親方(元横綱白鵬)は「私たちの時代なら、まだ三役かな。右差し、左おっつけでその次がない」と評する。その一方で「とにかく稽古を積んで、時代を背負ってほしい」とエールを送った。