オンラインで取材に応じたUNRWAのラザリニ事務局長(共同)

 【カイロ共同】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長は、パレスチナ自治区ガザでイスラエルが食料を軍事、政治目的のため「戦闘の兵器」として使っていると非難した。イスラエルが食料などの物資搬入を3月初めから2カ月半止めたことでガザに「壊滅的な影響」が出たと訴えた。近く訪日するのを前に、共同通信のオンライン取材に23日までに応じた。

 ラザリニ氏は、2023年10月以降のガザの戦闘で、死亡したUNRWAの職員が300人に達したとも明らかにした。

 イスラエルはイスラム組織ハマスに人質解放への圧力を強めるとしてガザへの物資搬入を停止。今月19日に限定的に再開したが、食料不足が深刻化し、栄養失調で死亡する子どもも出ている。

 ラザリニ氏は、ガザ住民が爆撃や破壊、病気だけでなく、飢えによる死を逃れるため悪戦苦闘していると語った。

 死亡したUNRWA職員はガザ社会を支える医療従事者や教師らだと指摘。あまりに多くの職員が亡くなったとし、イスラエル側に何度も抗議しているが返答はないという。