東京・永田町の自民党本部

 自民党本部が2020〜23年、各都道府県連を通じ集めた党費を巡り、9府県連に送金した還付金計27件2882万円を政治資金収支報告書に支出として記載していなかったことが1日、分かった。関係者によると、党本部は集めた党費の一部を還付しているが、支出には記載せず、還付分を差し引いた額を党費収入として計上。還付を党本部からの交付金収入などとして記載した9府県連側と食い違っており、不透明な党費の流れが判明した。

 党本部は取材に、いずれも府県連側の記載ミスとした上で、本部や都道府県連は「内規による党費配分にのっとって、それぞれの党費の収入額を計上することになっている」と書面で回答した。

 ただ、政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は「実際には資金の動きがあるのに、党本部が支出として記載せず報告書上でも齟齬が生じた。政治資金規正法の趣旨に反し、骨抜きにする行為だ」と批判した。残りの38都道府県連は、報告書上は整合性が取れているが、実際の資金の出入りは外部から検証できない。