【ジュネーブ共同】スイス基幹産業の腕時計業界で、ブランド戦略が業績の明暗を分けている。専門家は「感性」や「物語性」が消費者の心を動かすと指摘。米国の高関税措置など「前例のない危機」の克服へ、各社の取り組みが試される。
大衆向けブランドで知られるスウォッチグループの2024年12月期決算は、主要市場・中国の景気減速やスマートウオッチ(腕時計型端末)の台頭を受け販売が低迷。純利益は約2億1900万スイスフラン(約382億円)と前期比75%減だ。さらに大市場の米国ではトランプ政権の関税の追い打ちが見込まれる。
これに対し、高級ブランドのロレックスは、業績は非公表だが、業界の報告などによると逆風の中でも好調だったとみられ、業界トップに君臨。成長が続いたもようだ。
スイス時計協会によると、腕時計輸出は18年の2374万個から24年に1534万個に減ったが、輸出額は約199億スイスフランから248億スイスフランと上昇傾向。一部ブランドの人気が単価を押し上げたとみられる。