3日、台湾北部・新竹県で開かれたTSMCの株主総会で発言する魏哲家会長兼CEO(共同)

 【新竹共同】半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)は3日、米政権の高関税政策には「不確実性やリスクの潜在的影響が存在している」と指摘した。今後数カ月間は情勢を注視するとした。台湾北部・新竹県で開いた株主総会やその後の記者団の取材で述べた。

 当初2025年3月までとしていた熊本第2工場(熊本県菊陽町)の着工時期を25年内に変更したのは、第1工場の量産開始による渋滞など「交通問題」が理由だと説明した。「既に地元の住民が耐えられなくなっている」とし、状況が改善するまで着工を延期するという。日本政府や地元自治体、顧客の理解を得たと述べた。

 半導体需要はAI関連が旺盛で、供給を常に上回っていると強調した。現時点で「顧客の行動に変化は見られない」とし、前年から20%超伸びるとした25年の売上高の従来見通しを維持するとした。

 米国の関税を巡り米商務省に対し「(関税により)コストが上昇するのは皆にとってよくない」と伝えていることも明らかにした。