安倍晋三政権が新型コロナウイルス対策で全国の世帯に配布した布マスク「アベノマスク」を巡り、業者との契約過程を記した文書を開示しないのは不当だとして、神戸学院大の上脇博之教授が国に開示を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は5日、不開示決定の一部を取り消した。
アベノマスクを巡っては、上脇氏が発注枚数や単価の情報開示を求めた先行訴訟の判決で地裁が2023年2月、不開示決定を取り消し、国側は控訴せず確定。その後開示された資料では、マスク1枚当たりの単価(税抜き)は62・6〜150円で、納入業者や契約の時期によって2・4倍の差があったことが判明した。
今回の訴訟は枚数や単価の開示訴訟の過程で追加提訴。訴状によると、上脇氏は20年4〜7月、厚生労働省と文部科学省に対し、契約や発注に関する文書や販売業者とやりとりしたメールの開示を請求した。国側は一部を除き「事務処理上作成または取得した事実はなく、実際に保有していない」などの理由で不開示とした。