【パリ共同】フランス国民議会(下院)は2日、19世紀フランスの反ユダヤ主義に基づく歴史的冤罪事件「ドレフュス事件」で被害者となったユダヤ系陸軍将校アルフレッド・ドレフュスに対し、有罪判決から約130年を経て准将に昇進させる法案を全会一致で可決した。ドレフュスの名誉回復が目的。今後、上院で審議される。フランスメディアが伝えた。
フランスでは、イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの戦闘を受けユダヤ系への嫌がらせが多発。反ユダヤ主義への断固とした反対姿勢を示す狙いもある。
大尉だったドレフュスは1894年にスパイとして終身刑となった。後に真犯人が判明したが軍部は事実を隠蔽し、作家ゾラが「私は弾劾する」との公開書簡を発表するなどフランス第3共和制を揺るがす政治問題になった。1906年に無罪が確定した。
法案は父がユダヤ系のアタル元首相が提出。「ドレフュスを襲った反ユダヤ主義は過去のものではない」と述べ、ユダヤ系への差別に毅然とした姿勢で向き合うことの重要性を強調した。