【ワシントン共同】実業家イーロン・マスク氏とトランプ米大統領が全面衝突した。トランプ氏を「男が男を愛せる限界まで愛している」と公言していたマスク氏だが、財政や関税を巡る考え方の根本的な違いもあり、決裂は既定路線だったとの見方も。個人攻撃にも踏み込み、関係修復は難しそうだ。
「もう我慢できない」。マスク氏は3日の時点で、減税などトランプ氏の看板政策を盛り込んだ法案への不満をX(旧ツイッター)に投稿。慌てたジョンソン下院議長がなだめに走ったが、攻撃は止まらず、5日の決裂につながった。
政府効率化省を事実上率い、無駄削減に尽力したとの自負があるマスク氏にとって、今後10年間で約2兆4千億ドル(約345兆円)の財政悪化を招くとの試算もある法案は「忌まわしい」存在。高関税にも否定的で、主導するナバロ大統領上級顧問と批判合戦を繰り広げた。
移民規制を巡っては、自身も移民のマスク氏は海外のトップ人材を米国に誘致する必要があると主張。トランプ氏の支持者たちからは「米国の雇用が奪われる」と猛反発を浴びた。