原発事故で屋内退避指示が出た場合に地域の医療機関が入院患者や救急の診療を継続するため、内閣府が体制整備に向け情報収集に着手したことが7日、分かった。事故時の医療に詳しい福島県立医大が中国電力島根原発(松江市)に近い松江赤十字病院の事業継続計画(BCP)策定に関与。課題や対応手順を洗い出し、内閣府がモデルケースとして全国の原発周辺の医療機関と共有して防災体制を強化する。
施設の放射線防護機能の運用や被災した職員の参集基準、放射線量の管理などが焦点となる。
東京電力福島第1原発事故で入院患者が避難中に多数亡くなった反省を踏まえ、患者らは事故時、放射線防護機能がある病院などで退避を続けるのが原則となった。原発の再稼働が進む一方、昨年の能登半島地震では病院でも損壊被害が発生しており、屋内退避の実効性が問われている。
松江赤十字病院は島根原発の南東約9キロに立地し、医師や看護師など職員約1200人の大半は原発30キロ圏内に居住する。BCP策定で病院は、原発事故に伴い3日間、屋内に退避する事態を想定する。